防災時に身の安全を確保する基礎知識全集【保存版】

近年は、地震や水害、雪害や噴火など、さまざまな自然災害が頻発しています。災害が起きた時に被害を最小限に抑えるためには、個人の防災意識を高めることが大切です。いつ襲ってくるかわからない災害について、防災の基礎知識をまとめました。






1)そもそも災害の種類って?代表的な3つのタイプ

日本はその地形の特徴的に起こりやすい災害があります。近年、甚大な被害をもたらしている災害について整理しておきましょう。

【1】地震の基礎知識

南海トラフ地震や首都直下型地震など、近い将来に大きな地震が起こるといわれています。いつかはわからないけれど、いつか必ず起きる地震に備えましょう。

(1)地震のメカニズム

プレートの運動によって地殻の中で歪(ひずみ)が蓄積され、岩盤が耐えきれなくなると断層破壊(岩盤や地層がずれる現象)が起きます。蓄積された歪のエネルギーが地震動となって伝わるのが「地震」です。

(2)震度とマグニチュード

地震のエネルギーの大きさを表すのがマグニチュードで、揺れの大きさを表すのが震度です。マグニチュードはひとつの地震に対してひとつですが、震度は各地で異なり、震源から遠くなるほど小さくなるといえます。

(3)地震の被害

地震による被害は、家屋やその他の建造物の倒壊やそれに伴う火事の他に、地域の環境によって山崩れや土石流、地盤の液状化、津波などの自然災害も引き起こす可能性があります。

(4)地震の予知

大きな地震が起こることがあらかじめわかっていれば、被害を最小限にとどめることができると、誰もが考えることでしょう。実際に地震の予知については日本だけではなく、世界各国で研究されています。現在日本では「緊急地震速報」というシステムが実施されています。

気象庁が中心となって、地震の発生を早期にとらえ、大きな揺れが到達する数秒から数十秒前に警報が出されて、テレビや携帯端末に届きます。しかし予測の精度はまだ決して十分とはいえず、地震動の伝播する地盤の状態や地震の波形によっても誤差が出てしまいます。プログラムの改善やデーターの収集と解析など、精度の向上のために努力が続けられています。

【2】風水害の基礎知識

日本列島は海に囲まれており、その地形からも風水害が起きやすいといえます。台風や季節ごとの前線の滞留などにより強風や大雨、それに伴う河川の氾濫や土砂災害も引き起こされる危険性があります。

(1)河川の氾濫

大きな河川の流域で大雨が降ることで、河川に多量の水が勢いをもって流れ込み、堤防を決壊するなどして市街地に大きな被害をもたらします。

(2)局所的大雨

「ゲリラ豪雨」とも呼ばれ、10~数10㎞の範囲で1時間に50㎜を超える雨量が目安とされています。

狭い範囲で短時間に非常に多くの雨が降ることで、河川の氾濫や鉄砲水などが発生します。都市部では治水施設や下水道の排水能力の許容範囲を超えてしまうことで、建物の浸水、地下への浸水、地下鉄や道路の浸水による交通の麻痺などの被害をもたらします。

(3)線状降水帯

次々と発生する発達した雨雲が、列となって同じ場所を通過または停滞することでできる、線状に伸びる長さ50~300㎞、幅20~50㎞程度の強い降水を伴う雨域のことを指します。同じ地域を長時間にわたって雨雲が通過するため、強い雨が降り続くことで被害が発生します。

(4)台風

台風は直径が数百㎞の大気の渦です。中心部分の気圧が低く、外側から中心部に向けて反時計回りに風が吹き込んで上昇し、強い風と雨を引き起こします。

(5)たつ巻

近年、日本でも大きな被害が起きるようになっています。たつ巻は激しく回転しながら高速で移動する縦長の大気の渦です。上空が低温で重く上下の対流が生じやすい時に、水平方向に回転させる力が働くと発生しますが、突発的でいつ起きるかの予測は困難です。たつ巻は激しく旋回する風で、通路となった場所の建造物などを巻き込んで吹き飛ばし、短時間でも大きな被害をもたらします。

【3】火山の基礎知識

日本は世界有数の火山国であり、活火山が広く分布しています。火山は噴火そのものも非常に脅威ですが、それに伴ういろいろな災害が引き起こされます。

(1)直接的災害

火山の噴火物による直接的災害には、次のようなものがあります。

・溶岩流:マグマが地表に噴出し、1000℃前後の温度で地表に流れ出したものを溶岩流と呼びます。

・火砕流:ガスと大小の噴出物の破片の混合物が、非常に高温を保ち、高速で降下する現象です。

・火山灰:降灰による人体への影響や交通機関への影響、農産物への影響など、生活の全般に及びます。

・火山ガス:マグマからの火山ガスが、何らかの原因で地表に噴出することで起きる災害です。

(2)二次的災害

火山の噴火により引き起こされる二次的災害には、次のようなものがあります。

・火山性地震:震源が火山直下の場合と火口付近の場合があります。いずれも火山性地震そのものよりも、小規模の群発地震の継続や地震に誘発された斜面崩壊や水蒸気爆発などが大きな災害をもたらします。

・地盤変動:火山噴出物などの堆積物は固まっていないため、降雨によって土石流や斜面崩壊を起こしやすくなっています。またマグマの状態によって、急激な隆起や沈降が起きる可能性があります。

黄色いヘルメットを持っているビジネスマン

2)防災に対する考え方で大切な要素とは?

日本の各地でいろいろな種類の災害が想定されますが、どのような災害においても、被害を最小限にするために必要な、防災に対する考え方は同じです。

【1】自助

自分の身を自分で守ることです。一人一人が自分の身の安全を守るために、知識と対策と備えをしておくことが極めて重要といえます。

【2】共助

地域や身近な人たちがお互いに助け合うことです。日頃から近隣の人たちとのかかわりを築いておくことで、いざというときの共助がより強力なものになります。

【3】公助

国や各自治体が取り組む救助や援助です。災害時だけではなく平時もインフラ整備や防災知識の普及などの取り組みが行われています。

【4】大切なのは一人一人が備える防災

公助は常日頃から多くの取り組みが実行されています。防災のためのインフラ整備は、完成すれば防災・減災の効果は非常に大きいものになりますが、費用と時間を要します。ひとたび災害が起きてしまえば、いくら迅速に消防や自衛隊が救出・救助・救援活動を開始したとしても、個人に対しての初期対応は困難です。「自分の身は自分で守る」という考えで備えておくことが、いざというときの防災・減災につながります。

クリップボード チェックリスト

3)今すぐできる防災対策!チェック項目とは?

災害は、いつどんな形で襲ってくるかわかりません。いざというときに慌てずに行動できるように、家族や身近な人と話してみましょう。

【1】身近な場所を確認!どんな災害の可能性がある?

自宅の周辺や職場・学校など、自分や家族の行動範囲について、どのような災害が起こる可能性があるのかを調べておきましょう。

(1)ハザードマップ

各市町村ではその地域の特徴に応じて、発生のリスクがある災害についてハザードマップを公開しています。まずは、自宅のある市町村のホームページを確認してみましょう。発生リスクの高い災害の種類と、災害ごとの自宅周辺の危険箇所や被災リスクなどがわかります。知っておくことで、とっさの判断が正しくできれば身の安全が守れます。

(2)避難場所、避難経路の確認

ハザードマップには避難場所が記載されています。避難場所の確認と避難経路も確認しておきましょう。避難経路は災害の種類によって変更しなければならない場合もあります。水害の場合は、浸水して危険な場所は避けなければなりませんし、地震の場合は、古い橋など倒壊リスクの高い場所を避けなければなりません。

【2】家の中を確認!安全な場所・危険な場所は?

災害の種類と状況によって、躊躇なく非難が必要な場合と、すぐに外へ出るのが危険な場合があります。家の中の防災環境を確認してみましょう。

(1)家の中の安全な場所と危険な場所は?

災害の種類や状況、家屋の種類などによって、家の中の安全な場所と危険な場所も変わります。地震で家屋が倒壊した場合、1階にいて下敷きになることもあれば、1階にいても家具やがれきのすき間に入って命が助かる場合もあります。想像力を働かせて、安全な場所と危険な場所を見つけてみましょう。特に小さい子供や高齢者の寝室は、安全な場所になるように考えてみましょう。

(2)いざというときの役割分担

地震の揺れが落ち着いた後や、避難のため一時的に自宅を離れる場合などに実行することを決めておきましょう。ガスの元栓を閉める、電気のブレーカーを落とす、貴重品の持ち出し、備蓄品の持ち出しなど、家族で役割を分担しておきましょう。ただし状況によっては、身を守る行動が最優先の場合もあります。

(3)家族の集合場所

特に日中は家族が別の場所にいることも多いので、集合場所を決めておきましょう。災害直後は電話やメールでの連絡も思うように取れなくなりますが、各々が集合場所を目指せば会うことができます。ただし状況によっては、必ずしも集合場所に向かうことが安全でない場合もあります。

(4)安否確認の方法

災害時は回線がつながりにくくなるので、安否確認には「災害伝言ダイヤル」や「災害伝言版」を利用しましょう。これらは災害発生時にNTTや各携帯電話会社がサービスを開始します。防災週間には体験利用が可能なので、家族で体験利用してみることをおすすめします。

防災 ビジネスマン

4)状況・シーン別に考える防災対策

いざというときに必要な備えや対策には、少なからず経費もかかります。まずはできることから徐々に始めてみましょう。

【1】非常時に必要な備蓄品と3種類の避難グッズとは?

備蓄品や避難グッズは、年齢や性別、行動範囲や移動手段などによって必要度の優先順位が異なります。いつ起こるかわからない災害に備えるために、避難グッズを「平時・災害直後・避難生活」の3段階に分けて、持ち物を考えます。

(1)0次避難グッズ

普段からカバンの中に常備しておきたい物です。地震が起きてから安全な場所に避難し、数時間から1日程度を耐えられるように持ち歩きたい最低限の物です。必ず持っていたいものは飲料水と多少の食品(お菓子など)ですが、これらは日常的に持ち歩いている人も多いと思います。

現代ではスマートフォンの予備バッテリーや充電ケーブルも災害後に情報を得るためには必要ですが、これも持ち歩いている人が多いと思います。

他には、キーホルダー型の懐中電灯やホイッスルをカバンに付けておきましょう。100均商品でも十分です。そう考えていくと、自分の生活環境や行動範囲によって、いつも持ち歩いているものに少し足していけば0次避難グッズが完成します。量や重さが負担にならない程度に、自分用にカスタマイズしていきましょう。

(2)1次避難グッズ

安全な場所に避難したあと(避難するとき)に必要な、地震発生直後の3日間をしのぐために必要な物です。一般的な「非常持ち出し袋」がこれにあたります。リュックなどに必要な物を詰めておき、避難時に持って逃げる、もしくは、いったん安全な場所に逃げたあと落ち着いてから取りに戻る物です。ライフラインが停止したことを前提に用意しましょう。飲料水と食品は1人3日分が目安ですが、その内容は家族構成に合わせて備えましょう。非常持ち出し品の例を挙げます。

・飲料水・食品・貴重品(印・現金・健康保険証など)・救急用品(ばんそうこう・常備薬など) ・ヘルメット・マスク・軍手・懐中電灯・タオル・アルミブランケットなど防寒具・ラジオ・予備電池・使い捨てカイロ・ウエットティッシュなど

これらに、自分の家族構成に合わせて必要な物を加えます。無くては困るものや、代用の利くものなど、想像力を働かせて考えてみましょう。

(3)2次避難グッズ

地震後、1~2週間程度の避難生活に必要な食料や生活・衛生品が主な物になります。自宅に備蓄しておくものです。飲料水、非常用食品の他に、カセットコンロがあれば簡単な調理が可能となります。トイレットペーパー、簡易トイレ、ウエットティッシュ、口腔ケア用ウエットティッシュなどの衛生品を備蓄しておくことで、災害関連疾患の予防になります。

(4)ローリングストック

飲料水や食品、トイレットペーパーやティッシュペーパーなどの衛生消耗品は、日常的に使用しながら、一定量の在庫をもっておくという備蓄方法です。特に飲料水や食品は、使いながら買い足していくことで賞味期限を気にする必要がなくなります。食品は缶詰やレトルト食品などが比較的賞味期限が長いので、ローリングストックに向いています。また好きなお菓子類もローリングストックしておけば、災害時にも甘いものを食べることで安心感が得られます。

【2】家の中の防災対策

家具の転倒などでケガをしてしまっては、そのあとの避難行動にも支障が出てしまいます。家の中の安全を確保しましょう。

(1)家具の転倒対策

家具の転倒を防止するために家具を固定しましょう。固定するための金具やポール式の転倒防止用具はホームセンターなどで購入できます。また家具の中身が飛んできたり、出入り口をふさいだりしないように、配置や向きも見直してみましょう。テレビや電子レンジなどの家電も、勢いよく飛んでくることがあります。付属の固定具がある場合は必ず使用し、付属の固定具がない場合も、ホームセンターなどで購入して適切な方法で固定しましょう。

(2)ガラスの飛散防止

窓ガラスは強化ガラスに変更する、飛散防止フィルムを張るなど、割れても細かく飛散しないように対策をとりましょう。カーテンを二重にし、床に着くように長めにしておくことも飛散防止には有効です。また割れたガラスが飛散した場合に備えて、身近にスリッパなども常備しておきましょう。

(3)家の耐震

家屋自体の補強も大切です。補強の必要性については専門家に相談しましょう。自治体によっては耐震診断や補強についての助成がある場合もありますので、問い合わせをしてみましょう。

青 ヘルメット

5)防災基礎知識に関するQ&A

【Q1】外出中に災害が起きたら?

商業施設などの店内にいる場合は、店員の指示に従いましょう。慌てて出口に向かって走ったり、大きい声をだしたりすると、他の客もつられてパニックになることがあります。落ち着いて店員の指示を聞きましょう。

【Q2】車を運転中に地震がきたら?

ハザードランプを点滅させて、ゆっくりと車を左に寄せて停車します。エンジンを止めて、揺れが収まるのを待ちましょう。その間ラジオなどで情報を収集してください。近くに空き地や大きな商業施設などの駐車場がある場合は、ゆっくりと移動しましょう。車を置いて避難する場合は、ドアをロックせずにキーを付けたまま安全な場所に避難します。周囲の状況に合わせて無理のない行動をとってください。

【Q3】ペットの避難はどうしたらいい?

ペットの避難について、市町村のホームページに注意事項などの記載がある場合はそれに従いましょう。環境省のホームページにペットの災害対策についての記載がありますので、確認しておきましょう。

避難所によってはペットの同行について一定の条件がある場合もありますので、事前に自治体に問い合わせておけば安心です。






まとめ

【1】自分の身は自分で守る。一人一人の備えが重要です。

【2】ハザードマップを確認しましょう。避難場所と避難経路を確認し、危険箇所も把握しておきましょう。

【3】家族や身近な人と離れた時の連絡方法を決めておきましょう。

【4】避難行動や備蓄品は、地域や家族構成によって大きく異なります。想像力を働かせて自分と自分の家族にとって最適な防災対策を考えてみましょう。

 

【参照】

http://www.bousai.go.jp/kyoiku/keigen/kiso/index.html

http://www.bousaihaku.com/cgi-bin/hp/index2.cgi?ac1=B1&Page=hpd2_tmp

https://dil.bosai.go.jp/workshop/01kouza_kiso/shinsai/damage.htm

https://www.ntt-east.co.jp/saigai/voice171/

https://www.ntt-east.co.jp/saigai/web171/

https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/disaster.html

 

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