防災のプロ集団が伝える防災知識8つを全解説

大規模な災害が発生すると、要請をうけた自衛隊が災害派遣されます。救助活動の他生活支援を展開する防災のプロ集団は普段から防災知識をフルに活用しています。防災のプロが伝える防災知識を非常食ナビ流に解説します。






1)防災のプロ集団の防災知識を伝える

マガジンハウス発行の「自衛隊防災BOOK」はマガジンハウス編集部と自衛隊及び防衛省の協力によって作成されました。防災知識に関して自衛隊員にとっては当たり前のことが、一般の方にとっては驚きの連続だったことがきっかけだったそうです。自衛隊の隊員募集の動画サイトの内容を本にするにあたり、マガジンハウスの編集部と陸上幕僚監部・募集広報担当の林田賢明3等陸佐が記事化する作業を行っています。

災害時のための知識ですが、普段の生活に活かせるものも多くあります。カッターやハサミを使わないで、ビニールテープを手で切る方法や、缶切りを使わないで缶詰を開ける方法は、「困った」を解決してくれる防災知識です。

また、自衛隊員の方が普段から心がけていることも紹介されています。防災は日頃から備えておくことで、発災時の行動が大きく異なります。防災のプロ集団の日頃の備えを知ることと、それを活かすことで災害に備えましょう。

2)日頃の備え

全編を通して強調されていることは、次の行動につなげるために必要な準備を怠らないことです。地震の揺れが収まったら、安全な場所へ避難するなど頭ではわかっていることですが、そのために必要な行動を常に意識し、習慣化している点が本当の防災のプロ集団と実感させられます。

【1】寝るときは懐中電灯・スリッパ・ホイッスルをセット

夜寝るときは、枕元に懐中電灯とスリッパ、ホイッスルをセットにして置くそうです。懐中電灯は夜間の停電に備え、割れたガラスなどの危険物から足元の安全を確保するためにスリッパをセットにします。ホイッスルは取り残されたときに、居場所を伝えるために必要です。

よく、非常用持ち出し袋の置き場所を家族にわかりやすい所とか、玄関の近くとオススメしますが、寝室や子供部屋も適した場所の一つです。事実、就寝中の地震の発生に対する行動は、部屋を出て玄関に向かう動線を無駄なく最短距離で危険なく避難することが求められます。そういった行動をとるために懐中電灯、スリッパは必要最低限の備えです。

最悪家具の下敷き等身動きできない状況になった場合、ホイッスルはとても有効なツールですし、値段の高いものではないので複数あっても苦になりません。見習いたい備えです。

【2】お風呂に入るときは、携帯電話を入口近くに置く

入浴中に地震が発生したときに、どうするかという中から抜粋しました。お風呂にはいるときに携帯電話を入口近くに置くことを習慣化するのは、緊急地震速報を受け取るためです。実際に揺れを感じたときは、揺れが収まるのを待って、衣服を身につけ、安全な場所へ移動します。その時に、窓やドアの割れたガラスや鏡などの破片でケガをしないようにすること、床が滑るので、転倒しないように注意します。

揺れを感じる前に情報をキャッチすることは、出来るだけ早く次の行動に移すために必要な行動です。このように常に情報を得るための行動をとることは、人によっては緊張を強いられると感じ、強いストレスを覚える方もいると思います。「お風呂にはいった気がしない」と感じるかもしれません。

実際に携帯電話を脱衣室において入浴しても、洗髪中は聞き取れないことも多くあります。習慣化することで、防災意識を忘れないための行動と位置付けてください。

【3】お風呂は掃除するときに湯を捨てる

お風呂の浴槽をカラにしないそうです。生活用水を確保するためにペットボトルで備蓄することなく、習慣化した行動で対応しています。トイレ用水はもちろんですが、洗濯用や火災時の消火用など、あれば使えるけれど無いものは使えないという発想が根底にあります。地震の揺れでお風呂の湯が溢れてしまうリスティングを防ぐために、必ず蓋をすることも付け加えてありました。

現在は、東日本大震災のときにリスティングによってお風呂が溢れ、被害が発生したことや、残り湯の細菌類の爆発的増殖及び、湿気による浴室内のカビの発生などの衛生面、子どもの転落事故防止のなどの観点からあえてお風呂の湯を残さない一般の方も多くあります。

ホイッスル

3)持ち歩くもの

【1】手ぬぐいとホイッスルを常に持ち歩く

防災のプロ集団の持ち歩く手ぬぐいは、手などを拭く他、鼻や口を覆ってマスクの代わりにしたり、ケガをしたときの止血帯、骨折時の三角巾、割いて使えば紐になります。

最近手ぬぐいや風呂敷など、和の文化が見直されています。どちらも使い方次第で様々な用途に対応できる応用範囲の広さが重宝されています。自衛隊が創設された頃の庶民の当たり前の行動が、現代社会では防災の備えとして認識されています。

防災グッズを持ち歩くことは、何もプロ集団だけが実践しているわけではありません。東日本大震災で被災した方や、教訓として常に防災意識と共に必要最小限のグッズを持ち歩く方も多くおられます。ただここまでシンプルに徹底している方は少なく、利用価値の高いものを使いこなせる知識と技量を磨く必要性に気付かされます。

【2】非常食はスイーツ系も忘れない

防災のプロ集団として行動するために、携帯食を見せてもらったときに、レトルトご飯やおかずの缶詰と一緒に果物の缶詰があったことと、隊員に人気の非常食のレシピの話です。果物の缶詰はミカンや桃など甘いフルーツがほとんどで、糖分を摂取すると体内で素早くエネルギーとして利用される効果があることと甘いものを食べることで、気持ちが落ち着く効果があることが紹介されています。

この他に、隊員に人気の非常食のレシピは、カンパンにチョコを挟んだ「乾パンチョコサンド」だそうです。少量で食べ応えがあり、高カロリーで甘いチョコレートによる疲労回復の効果も見込めるそうです。

非常食でも特に、携帯食としてチョコレートをオススメすることは多く、非常食を揃える時は、果物の缶詰も忘れないようにしましょうと呼び掛けています。このように防災のプロ集団が実践していることで、理にかなっていると証明されたように感じます。一般の方は非常食を持ち出すときの重さを考えて、果物は缶詰にこだわらずレトルトタイプのものもご活用ください。ただしどうしても缶詰に比べて賞味期限が短くなりますので、管理にご注意ください。

手をつなぐシニアと女性

4)避難方法と救助

一般の方が災害発生時に避難するときの行動について書かれています。「避難」ではなく、「移動」と表現されているところに感じるものがあります。

【1】歩ける人は手をつなぎ、赤ちゃんはおんぶ。地震の時は上を見る。

(1)自分で歩ける高齢者と避難するときは、手をつないで落ち着いて誘導する

高齢者や子どもなど災害弱者といわれる人と避難するときは、相手のペースに合わせることが大切です。早く歩きたくても歩けない高齢者を急かしても転倒の危険性が高まるばかりですし、気象災害の際には避難自体を断るようになってしまいます。「大丈夫ですよ。間に合いますよ。」と声をかけながら、早めの避難を心掛けます。また、思った以上に歩ける距離が少ない方も多いものです。思い切って自動車や車いすなどを使いましょう。

(2)子どもと避難するときは、歩ける子は手をつないで一緒に移動。赤ちゃんはおんぶひもで背負い、リュックを前につけて両手をあける

赤ちゃんはおんぶとありますが、断然「抱っこ」をおすすめします。もちろん抱っこひもを使用して、しっかり固定し両手をあけることは変わりません。親も子も顔を見る安心感は、非常時だからこそとても必要なものです。

(3)ペットはしっかり抱えて移動する

ペットの大きさによりますが、抱えることができるものであればキャリーバッグなどに入れて、ぶら下げずに小脇に抱えて避難します。大型のものはペット用のクツや靴下、肉球カバーを着用させて歩かせて避難します。キャリーバッグは1匹に1個必要で、普段からキャリーバッグを使用して入ることを嫌がらないようにしつけましょう。大型のペットもペット用の靴などに慣らすことが大切です。ペット用のグッズやエサは支援物資を期待できませんので、必ず持参します。

また、動物病院やペットショップでは、キャリーバッグに入る訓練など最低限のしつけを行う、しつけ教室を開催しているところもあります。保育園の形で一定の時間飼い主と離れて、他のペットと過ごす時間を持つことで、災害時の訓練を行う動物病院やペットホテルもあります。

大切な家族の一員であるペットを災害から守るために、最低限のしつけをすることは飼い主の責任ですが、ご自身で不安を感じる方は利用されることもペットにとっても大変有益なことだと思います。

(4)地震の時は、落下物の危険がある上に注意を向ける

地震では、落下物によるケガや事故が多発します。そして、移動可能であれば、広場や耐震構造の建物に避難することをすすめています。

地震に限らず台風などの強風の時も、落下物のみならず飛来物に注意が必要です。どうしても足元を見てしまいがちですし、進行方向の危険に注意が行きますが、あえて上に意識を持つことで、災害時特有の事故に備える必要を説いています。

【2】1人で救助するときはおんぶが基本

この他に、2人で両脇から抱き上げて救助する方法や上着を使用した簡易担架の作り方と使用方法などが紹介されています。

災害現場で、被災者を救助している様子が報道されたとき、おんぶで移動しているシーンをよく見ます。救助する側が視界を妨げられないこともありますが、救助される側も進行方向を見ることで安心するようです。高齢の方を介護された経験をお持ちの方は、よくご存知だと思いますが、高齢の方はお姫様抱っこの移動よりおんぶの方が違和感もなく、ご自分から背負われるための動きをされることもあります。昔から「母を背負いて」のイメージが強いことと、やはり顔が向き合って近くにあるのは、抵抗感が強いようです。

高齢者に限らず子どもにしても、実際の体重より不思議と軽く感じます。そして、抱っこよりおんぶの方が、軽く感じます。また、同じ重さの物体より人の方が、断然軽く感じます。やはり重力を感じるだけの物体より、自分から背負われたり、抱きついたりする人の方が、重力による抵抗が少ないように思います。

ガソリンのセルフスタンド風景

5)自動車の取り扱い

【1】自動車のガソリンは常に半分以上保持する

いつ不測の事態が発生するかわからないので、自動車のガソリンは常に半分以上を保持するように気をつけているそうです。

(1)常に余力のある状態を保つ

地震や大雨による土砂崩れ、大雪による立往生ばかりでなく、交通事故が発生して想定外の渋滞に巻き込まれると、思った以上にガソリンを消費することがあります。ガス欠による走行不能はもとより、う回路を選択した場合極端に回り道を余儀なくされたときに、知らない場所でガソリンの残量が少ないことほど不安を感じることはありません。

常に余力のある状態を保つことで、少なくともガソリンに不安を感じることなく行動できます。これは携帯電話の電池の残量や、備蓄品についても同じことがいえます。電池の残量が少ないことで行動を制限されたり、充電するために充電スポットを探したりと本来のやるべきことができなくなる事態になってしまいます。

(2)自分の使う道具の手入れを怠らない

自動車に関して、以前駐屯地の近くで自動車の整備工場を営んでいる方のお話ですが、自衛隊の方の自家用車は中古で下取りしてもとても状態が良いということを聞いたことがあります。普段から乗り方に無理がなく車両に必要以上の負担がかかっていないこと、メンテナンスも行き届いていること、降雪期になると冬用タイヤを装着して小さな接触傷も少ないといった内容でした。

ガソリンの残量だけでなく、日頃から自分の使用する道具を大切に扱い、手入れを怠らない習慣化されたルーティンワークにより、磨き上げられた防災のプロ集団としての意識の高さを物語るエピソードであるといえます。






この記事のポイント

【1】「自衛隊防災BOOK」は防災のプロ集団が伝える防災知識が満載の本です。

【2】日頃の備えを怠らず次の行動を意識し、そのために必要な準備を心掛ける。

【3】最低限の備えで最大限の効果を得られるスキルを身につける。

【4】避難や救助の方法など経験によりマニュアル化されたものは一般の人にも参考になる。

【5】自分の使うもののメンテナンスを欠かさず、常に余力のある状態を保つ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です