全国の防災を学べる施設を8つピックアップして紹介

全国に博物館や記念館は多くありますが、最近では体験型の施設も多くなってきました。防災に関する施設も災害の教訓を忘れないためのものや、災害を事前に体験することで、防災意識を高めるためものまで様々なタイプがあります。団体向けのものやお子さん向けのものなど防災を学べる施設をご紹介します。






1) 「防災施設」は多くの役割を持っている

インターネットで「防災施設」を検索すると、防災施設を紹介するサイトや「防災を学べる施設(防災教育施設)」と一緒に、「防災のための施設」「防災のために活用する施設」「コミュニティ防災センター」が出てきます。

【1】災害を防ぐための施設は主にダム

砂防ダムや治水ダムは災害を防ぐための代表的な施設です。主目的は災害の拡大を防ぐことです。実際に治水ダムは見学できるところも多いのですが、場所によっては、ダムが建設される前の集落に関する展示を行っているところもあります。また、「ダムカード」を発行している施設もあり、マニアの間では人気です。

【2】災害時には普段と異なる使い方をする施設

この検索で最も違和感のあったのは、普段と異なる使い方をする施設です。江戸川河川敷や石油コンビナートが防災施設の検索で出てきたときには?江戸川河川敷は洪水、高潮時には氾濫被害を最小限に抑える活動拠点となり、首都直下地震では、地域防災活動拠点(河川防災ステーション及び水防拠点)となります。そのため、災害発生時には緊急車両の基地や輸送路、ヘリポート、医薬品及び支援物資輸送の船着き場などあらかじめ使用目的が設定され、高規格堤防も合わせて整備されています。

また、石油コンビナートは特定施設ということで、火災及び貯蔵タンク内の石油流出対策が法律で定められています。災害が発生した時に、通常とは異なる対応が必要であり、しかも、石油流出の危険性など甚大な被害をもたらす2次災害の発生を防ぐ必要があるためです。

【3】コミュニティ防災センター

普段は防災に関する情報の発信や訓練、研修の場所ですが、災害時には現地防災対策センターとして機能するために、非常用発電機や、10人くらい一度に入れる浴室、炊き出し用の調理室、野外炊飯施設、ソーラー給湯施設、太陽光発電装置、備蓄食料を備えています。

この施設は、川の氾濫が過去に多発した地区で、水害対策を念頭に設置され、自主防災組織の育成を行って災害で活動できるように、自治体が設置し住民が主体となって運用しています。

【4】防災を学べる施設

「防災教育施設」と呼ばれるもので、今回ご紹介する施設です。多くの場合、展示と体験が中心になっています。展示は過去の災害を扱うものも多く、「災害遺構」の近くに設置され、資料館としての役割を担っているものもあります。また、その災害を教訓として防災意識を持って欲しいという思いから、当時を体験できるものもあります。特に現代のCG技術などを駆使して、リアルに再現されています。

お子さんが対象のものも多く、課外授業を想定したプログラムを準備している施設や、自由研究や調べ学習に役立つ体験イベントを開催することもあります。この他、企業の防災教育に取り入れ可能な内容もあり、大人も体験しながら、防災に関する学習ができるようになっています。

今回ピックアップしてご紹介する施設は、体験型を中心としたものです。ご家族や企業、自主防災組織、地域のグループなどで、ご活用ください。また、外国人労働者や留学生の中には、地震の発生が少ない地域から来日しておられる方も多く、防災に対する意識が日本人とは異なることもあります。地震体験の施設を利用された日本語学校では、留学生の方の意識が変わったと好評です。職場や学校の防災教育に取り入れられるカリキュラムと多言語対応の施設もありますので、ぜひ参考にしてください。

ヘルメットを持っているビジネスマン

2)防災を学べる施設を検索できる専用サイトもあります

防災を学べる施設は、それだけでも検索できますが、専用の検索サービスもあります。

【1】市民防災ラボ

全国体験防災館の検索が可能です。北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州のブロックごとに分けて、検索をすることができます。その名の通り「体験」できる施設を扱っています。可能な限りリンクが貼ってあり、専門的な解説もあります。施設を訪問したレポートに日付が明記してあるので、情報の鮮度も明確です。
主催する団体は家庭の自助や地域の共助など市民防災分野の活動を行っています。

【2】学研キッズネット

見学可能な工場の中の防災カテゴリーで7つの見学施設を紹介しています。見学できる内容や、リンク紹介のかたちで、お子さんが自分で検索できるようになっています。また、施設の詳しい内容はお子さんにわかりやすくまとめてあります。自由研究や調べ学習などに手軽に使えます。ただし、申し込みなどはお子さんだけされないように、お願いします。

【3】国土交通省:>キッズコーナー>見学できる施設の一覧

国土交通省の管轄している施設や、国土交通省の仕事を楽しく学べる見学施設がたくさん紹介され、管轄(地方)ごとに分かれています。ダムが中心ですが、火山や港、川に関するものもあり、広大な公園もあります。施設とともに国土交通省の活動も詳しく紹介されているので、自然や民族の歴史や文化に関する情報発信も見どころです。

国土交通省の管轄ということで、運輸局管内にある自動車整備施設や航空局、国土地理院、気象庁、海上保安庁のそれぞれの見学施設の他、航空博物館に関する情報も検索できます。派手さはありませんが、リンクが貼ってありますので、見ているだけで楽しくなります。

【4】いこーよ:子どもとお出かけ情報サイト>全国の社会見学(防災センター)のお出かけスポットから探す

お子さんと一緒にお出かけする情報サイトです。明るく、楽しい作りで、各施設が一言で解説してあります。実際に出掛けた方からの口コミもあり、参考になります。また、施設の情報を提供することもできる、参加型のサイトです。詳しい施設紹介の他に、リンクはもちろん、お子さんの対象年齢も明示してあり、アクセスと施設周辺の天気予報もあって、充実しています。

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3)防災を学べる施設 その1:体験学習できる災害が複数あるタイプ

体験できる内容ごとに分類しました。地震や火災など複数の災害の体験や防災を学べます。施設によっては、入館料やイベント参加料、事前予約が必要になります。また、学習施設ですので、禁酒禁煙でお願いします。

【1】東京消防庁本所防災館

防災体験ツアーは約2時間、基本コースはシアター+地震・消火(煙または都市型水害)・(応急手当または暴風雨)4体験ができます。ショートコースは1時間10分で、シアター+2体験です。この他、新米パパママのための応急手当講習会や親子防災体験なども開催されています。
防災体験ツアーとして設定されている施設は少ないので、予約が必要ですが、お試しの価値ありです。

【2】名古屋市港防災センター

震度7の地震体験のほか、1959(昭和34)年に発生し、東海地方に甚大な被害をもたらした伊勢湾台風を3D映像や照明で再現します。また、煙避難体験もできます。本物の消防ヘリコプターの展示や消防服の試着(お子さんのみ)ができるちびっこコーナーもあります。

定例防災教室も開催され、1959年当時の小学校を再現した教室で実施されます。この他、サバイバル実習教室では、牛乳パックを燃料にアルミ缶を使ってご飯を炊くなど調理実習を行ったりします。特別講座や出前講座(名古屋市内限定)もあります。

災害対策基本法制定のもととなった伊勢湾台風の実態を後世に伝えることと予想されている南海トラフ地震に対する防災教室を同時に行う施設です。

【3】東京臨海広域防災公園 防災体験学習「そなエリア東京」

東京臨海広域防災公園の中にある防災体験学習施設「そなエリア東京」では、「東京直下72h TOUR」で地震発生後72時間の生存力をつける体験学習ツアーに参加できます。この他、津波避難体験コーナーは、映像や壁面グラフィックで津波の特徴を知ることができます。

そして、首都直下地震に関する模型やパネル展示の他、防災グッズの展示や学習コーナーで災害と上手に付き合う知恵などを学んでいきます。東京直下72h TOURは30人未満であれば予約不要です。次回案内時間に集合すれば、いつでも参加できます。

【4】静岡県地震防災センター

東海地震に備えて、防災知識の習得と防災意識の高揚を目的に造られました。地震体験や、消火体験をすることができます。地震体験は「地震ザブトン」を利用し、地震発生時の室内の映像を視聴しながら揺れを体験できます。消火体験は本物の家庭内消火器・ビル内消火栓を使用して体験します。

ちなみに、この施設の50人収容の視聴覚設備を使用する地震防災の学習、研修ホールは「なまずホール」、200名収容の同様のホールは「ないふるホール」です。「ないふる」は古語で「なゐふる」地震または、大地が揺れるの意味です。

【5】福井市防災センター

福井市にある防災センターで1948(昭和23)年の福井地震をパネル展示などで紹介しています。福井地震はマグニチュード7.1、震度7の都市直下型地震で戦後の復興間もない福井、石川県に大きな被害を与えました。阪神淡路大震災が発生するまで、戦後最大の被害の地震でした。

この施設のおすすめはシミュレーションに、火災と119番通報があることです。道路起震装置(地震体験)は路上での地震を体験でき、台風体験室とともに珍しい施設です。また、夏休みには福井自慢の恐竜とコラボした展示が行われることもあります。

ビーチにいる女性

4)防災を学べる施設 その2:過去の災害を忘れない

災害による被害を残した「災害遺構」を保存し、語り継ぐことで、過去の災害を教訓として次世代に伝えるための施設です。

【6】雲仙岳災害記念館(がまだすドーム)

雲仙普賢岳にあるジオ火山の体験ミュージアムです。1991(平成3)年に発生した火砕流と1993(平成5)年まで続いた土石流の被害を伝えています。災害遺構の土石流被災家屋保存公園も近くにあります。火山学習体験は学校の授業の一環として想定したプログラムが作成され、授業の進度に合わせて内容を柔軟に対応し、この記念館と保存公園を一つのものとしたツアーを準備しています。

そして、もう一つの目玉の、こどもジオパークは屋内遊具スペースでトランポリンやボルダリングをしながら、雲仙の魅力を体験できるゾーンです。この他にも遊具があるので、小さいお子さんでも飽きることなく楽しめます。こういった学習施設で体を動かしながら知識を身につけていくものは大変珍しいので、ぜひ体験してください。また、ワンダーラボでは火山にちなんだ実験やワークショップがありますが、事前に予約が必要です。

【7】ヒトと防災未来センター

地震に関する危機管理と教育を専門とする機関で、阪神淡路大震災記念博物館を併設しています。1995(平成7)年に発生した阪神淡路大震災の記憶と予想される南海トラフ地震に対する備えを学習するための施設です。

特撮とCGを駆使して、震災発生の瞬間を再現し、大型映像と音響で地震の凄まじさを体感できます。また、語り部による震災の時の話を聞くことができます。

阪神淡路大震災の震災遺構は北淡(ほくだん)震災記念公園(兵庫県淡路市)の野島断層保存館があります。阪神淡路大震災で現れた野島断層を保存し、語り部の方による話を聞くことができます。

5)防災を学べる施設 その3:防災にかかわる企業の見学施設

企業の業務内容を一般の方に紹介することと、社会貢献活動の一環として公開しています。業務を行いながらの受け入れですので、見学できる日時や内容に制約がありますが、普段は目にすることができないようなこともありますので、事前に条件等も確認の上お申し込みください。

【8】初田製作所

大阪府枚方市にある初田製作所は、消火器の製造会社です。「実消館」では、実際の消火設備が館内に設置してあり、操作・薬剤の放出・点検等の実体験が可能です。ガス系消火設備の他、屋内・屋外消火栓と泡消火栓、放水ヘッド・泡ヘッドのスプリンクラー、危険物用泡消火設備のエアフォームチャンバーも放射状況を体験できます。これ以外にも多くの設備を見学できます。

また、BIX(ビックス)ギャラリーではビルや工場などに使用される消火設備の展示や普段触れることのない手動起動装置やセンサーを実際にさわって操作できます。この他、消火器・リサイクル工場の見学もあります。

法人の団体が対象で、消防団の方や婦人消防団をはじめ、学校や一般企業の方にぜひお薦めです。一般の個人の方は、春と秋の火災予防期間中のみで、実消館での放射体験はできません。

ヘルメットを被る男の子

6)防災を学べる施設 番外編:イベント開催日のみ一般公開

その他に、普段は非公開で夏休み期間などにイベントを開催して、1年に1度だけ公開される施設もあります。番外ですから内緒です(よろしくお願いします)。

国立研究開発法人の防災科学技術研究所(つくば市)は非公開ですが、関連施設の雪氷防災研究センターは1年に1度だけ、イベントや講座を開催し、一般の市民も参加することができます。この施設は防災科学技術研究所の雪氷研究防災部門で、雪による害(雪氷害:せっぴょうがい)を軽減するための研究を行っています。

国立研究開発法人防災科学技術研究所 雪氷(せっぴょう)防災研究センター

・新潟県長岡市の雪氷防災研究センターの一般公開
・山形県新庄市の新庄雪氷環境実験所の一般公開

どちらも夏に公開されることが多く、ペットボトルで雪の結晶を作ったり、低温室での過冷却の実験やダイヤモンドダストを観察することができます。






この記事のポイント

【1】防災施設は、災害を防ぐための施設と、防災を学べる施設がある。

【2】多くの防災を学べる施設は見学や体験ができ、イベントも多く開催される。

【3】防災を学べる施設は、災害遺構や、実験施設、周囲とリンクしたものもある。

【4】防災を学べる施設は無料、事前予約制など特徴があるので、確認してみる。

【5】防災を学べる施設は、夏休みに一般公開されるものもあるので、要チェックです。

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