非常食はまずい?美味しくする秘訣と選び方のポイントは?

ネット上では非常食の食リポも多くあります。その中で、美味しいと絶賛のものもあれば、とても低い評価のものも見受けられます。災害時に食べる非常食だからこそ美味しいものを食べられるように秘訣と選び方をご紹介しましょう。






1)非常食はまずい?

本当に非常食はまずいのでしょうか?

【1】現代の食生活の豊かさと偏り

現代の食生活は本当に豊かになりました。フードロスをなくそうという運動が起こるくらい、食べ物に対して「もったいない」という意識を持たなくなってしまうほどです。その一方で偏った食生活も存在します。とにかく食べればよいといったような、食事に無頓着な人もいれば、固執と思えるほどのこだわりを持った食生活を送る人もいます。健康のためと称して、ブームになればなんでも売り切れてしまうこともよく起こる現象です。

また、味付けに関しても同じ事が言えます。味見もしないで、何でもしょうゆをかけて食べる人、マヨネーズをたっぷりかける人、自分の好みの味付けにすべてをかえてしまう人も多く見聞きすることです。

このような無謀ともいえる食生活はヒトの味覚を正常に保つことができるでしょうか?美味しいと感じるポイントや好みが異なる人のコメントを鵜呑みにしても、自分の味覚に合うでしょうか?

【2】食べ物に対する思い込みと食べる時の気持ち

随分以前から、「病院食は美味しくない」と言われています。仕方がないから食べると言葉は続きます。そう言う人は、実際に入院の経験がある人ばかりではありません。まわりから聴いて、そう思い込んでいる人も多くいます。同じことが非常食にも言えるのではないでしょうか。「誰かが言っていた」その言葉が勝手に刷り込まれてしまっていないでしょうか。

病院の食事も非常食も選択の余地がない状況での食事になります。高揚した気持ちで行ったレストランで多くのメニューから選んだものではなく、体調を崩して医師から入院するように言われたり、災害で自宅での生活を断念したりした時の落ち込んだ気持ちの中で、これしか食べる物が無いといわれて、仕方なく食べる物。同じ気持ちで味わえるでしょうか。

【3】「まずい」の攻撃力~ネット社会の弊害

(1)「まずい」の攻撃力

大勢の人数で食事をしている場所で、聞こえるように「まずい」を連発する人がいます。その人は食事のマナーを知らないのだと思います。その言葉を聞いただけで、それまで美味しく感じていた食事を同じ気持ちで食べる気にならなくなってしまいますし、同じ味に感じることはできなくなります。本当に迷惑な行為です。そんな人に限ってこう言います。「だって、まずいものはまずい。」

「まずい」と「美味しくない」には雲泥の差があります。「美味しくない」より「口に合わない」は思いやりを感じます。食事を作った人が目の前にいる時、「まずい」と言える人はやさしさや思いやりの欠片もない人だと思います。

一口食べた後、何も言わず残した食べ物を見れば、「好みではなかったのかな?」と作った方も考えますし、「嫌な思いをさせてしまったな」と反省をしますが、「まずい」と言われると、傷付いて立ち直れません。その料理だけでなく、自分自身を否定された気持ちになってしまいます。

(2)ネット社会の言葉の貧困化と先鋭化

ネット社会では、目を引く言葉を使います。過激なタイトルで興味を持ってみてもらおうとします。SEOの観点からキーワードになる言葉を連呼します。決まった言葉だけを使い続けるようになり、語彙が少なくなり、表現力も言葉も貧困になっていきます。そして、読むほうも自分の読みたいものばかりを読んでいきますので、他の意見を受け入れることなく、思考範囲は狭くなるばかりです。

刺激は慢性化していきますので、より刺激的な表現や内容を求めるようになります。そして、攻撃する方は相手を見ることもなく、自身をさらすこともないので、より厳しい言葉で徹底的に攻撃し、完膚なきまでに叩き潰しにかかります。終われば次のターゲットへ、その繰り返し。他の意見を持った人は、異なる場所での発言すらできない状況に追い込まれていきます。

本当に非常食は美味しくないのか、自分自身で確かめてください。他者に惑わされることなく、味覚は人それぞれと割り切って、味わってみてください。

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2)非常食の特徴って?

【1】ターゲットを特定しない全国区の味

非常食は、ターゲットを特定した食べ物ではありません。強いて言えば万人向けの食べ物です。より多くの人が毎日食べることのできる食べ物を目指しています。ですから薄味で、香辛料を控えた特徴のない食べ物です。宗教上の配慮やアレルギー対応も考慮してあります。

カップ麺に地方ごとの特色ある味のシリーズのものがあります。また、住んでいる地方の気候風土に適した食材を使った郷土料理は、「ソウルフード」とも呼ばれ、その地方の方の好みにあった味になっています。ところが、多くの非常食は郷土色を感じるものはありません。非常食は全国区の味に仕上げてあります。

【2】非常食は「家庭料理」と異なるカテゴリーの食事

非常食の代表ともいえる缶詰は、戦場で輸送や保存状況を極限状態に耐えられるようにすることが、開発の原点です。味わうことより常温での長期保存と戦場でのエネルギーと塩分の補給が優先事項でした。

現代でも、保存期間の長さは非常食を選ぶ時の目安の一つです。また、調理不要も大きなウエイトを占めます。このような基準をもとに進化してきた非常食は、家庭料理とカテゴリーの異なる食事といえます。また、食べる頻度が少ない非常食は、食べ慣れた家庭料理と比較した時に、違和感のある味とくくられやすいと思います。

【3】口コミ頼みで、試食して購入することがほとんどない

非常食を購入する時、リピート買い以外で選ぶ基準は何でしょうか。最も多いのは口コミではないでしょうか。実際に食べるチャンスが少なく、価格も高いので、なかなか普段の食事に食べるご家庭も多くないと思います。

また、普段の食事に比べて圧倒的にネット購入が多いと思います。実際の店舗で購入する方もいらっしゃると思いますが、スーパーマーケットで生鮮食品を購入したり、コンビニで食べ物を買うことから見れば、非常食はネット販売が主戦場といえます。

実際に手に取ることも少なく、ネット上の情報だけで購入し、賞味期限が来るまで保管する。賞味期限が近くなってはじめて食べる、それが非常食との付き合い方ではないでしょうか。

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3)非常食をより美味しくする秘訣

では、非常食をより美味しくする秘訣をご紹介します。

【1】チャンスを見つけて食べてみる

より美味しくするためには、非常食を味わうことから始めます。食べたことのないものを美味しくアレンジすることは不可能です。自分にとって足りない味を知ることや、一緒に食べる組み合わせを考えることで、非常食はより美味しくすることができます。

ローリングストックの時に、食べることはもちろんですが、持ち寄りの試食会や防災イベントの時などにぜひ、食べてみてください。

【2】炊き出しのような温かい食事にするために熱源を確保する

食事は、冷たいものより温かい方が美味しく食べることができます。そのために必要な熱源を確保します。具体的にはカセットコンロや発熱剤を準備します。

(1)温かい食事の美味しい理由

温かい食事は栄養的にみても、美味しい理由があります。わかりやすく説明すると、デンプンがα(アルファ)化していることが挙げられます。アルファ米などの説明でもご存知の方も多いと思いますが、デンプンが温かい状態であれば、α化して美味しく食べられます。

この他に、脂肪も同様のことが言えます。レトルトのカレーを冷たいまま食べると、油が分離していたり、脂肪がかたまりの状態で舌にザラザラとした食感が残ります。ラーメンの汁が冷えると白く脂の塊が浮いているのをご覧になった方も多いと思います。つまり、温かい状態であれば、デンプンや脂肪などが美味しく味わえる状態になっています。

世界的な美食の国であるフランスの料理の本を読むと面白いことがあります。特に古い本は「冷たい食事は、…」とかなり否定的な表現をしていることがあります。もちろん冷たくして食べる物は冷やしますが、基本的に食べ物は温かいものが美味しいものという考え方を感じます。

(2)温かい炊き出しの食事は心も温める

災害時の非常食と共に提供される食べ物に炊き出しがあります。炊き出しの食事の特徴は温かい食べ物です。「温かくて美味しい」とコメントされる方も多く、「体も心も温まる」と言われます。湯気を見るだけで心がホンワカとしてきます。

フランスの隣国、イタリアでは地震などで被害が発生すると、キッチンカーが出動して被災地で調理をして、車内のセッティングされたテーブルで出来立ての温かい食事を提供します。イタリア各地にボランティア団体があり、災害が発生すると近くの団体が出動し、費用は後から政府が支給するそうです。欧米ではキリスト教など教会の慈善活動の歴史があり、ボランティア活動は現在も盛んで、費用だけを政府が負担する支援の形が出来上がっています。

そして、精神的にも肉体的にも疲れたときほど温かい食事が人々を元気にすることを心得ていて、そのための労力を厭いません。実際、ヨーロッパサッカーのビッグクラブでは、試合終了後なるべく早い時間に、筋肉をクールダウンすると同時に温かい食べ物で体を内側から温めます。疲れのもとをつくらない方法を、科学的根拠に基づいて実践しています。このような温かい食べ物の効用をどんな場合にでも活かす、合理的で寛容な心を、今後被災者支援の標準として取り入れていければと感じます。

【3】「食べやすい」「飲み込みやすい」ものを準備する

被災地のアンケートで食べにくかった物に、パンを上げる方が多いそうです。原因として飲み込みにくさを挙げる専門家もいます。災害時は飲料水の不足が指摘され、避難所ではトイレ問題もあり、水分の摂取を控える方も多くいます。そのような状況で口の中の水分を吸収されるようなパンは敬遠され、特に乾パンは食べにくいものとして挙げられることが多くなります。

そこで、汁物やスープを準備されると少しでも美味しく食べることができます。レトルト食品のスープはそのままでも食べられますし、温めればより美味しくなります。また、お湯が手に入ればカップのみそ汁やフリーズドライの汁物を食べることもできます。

この他、ご飯も雑炊やお粥を準備されると多少でも水分が多く含まれますので、飲み込みやすくなります。飲み込みやすさは食べやすさにつながります。

【4】スパイスや調味料で自分の好みにアレンジする

マヨラーにはマヨネーズ、ケチャップ好きは自分の好みのブランドを、これは鉄則です。好きな食べ物が食べられないだけで、人生が終わったようなことを言う人もいます。調理した側から見ると、受け入れられないことですが、なんでも自分好みの調味料をジャブジャブとかけないと食べられない人もこの世に存在します。

でも、発想の転換です。非常食は特徴のない味です。足りない味は足せばよいのです。これさえあればなんでも食べられる「魔法の調味料」と思えば、「どうぞ、ご自由に。でも健康管理は自己責任。」と割り切れます。この他、唐辛子、ニンニク、ショウガ、コショウなども必要な方はご準備ください。

梅干しや、ふりかけが必須アイテムの方は忘れないでください。先ほども申し上げましたが、非常食を食べる時は水分が不足しがちな状況です。塩分の摂り過ぎでも十分な水分量を確保できないことも合わせて考慮し、対策をご自身でなさってください。

【5】バリエーションを豊かにする

ご飯、パン、麺類、丼物、汁物、魚、肉、野菜、揚げ物、煮物、おやつとバリエーションを豊かにします。日常生活では本当に多くの食べ物から選んで食べています。避難所でよく言われることが、「食事は最大の楽しみで飽きない工夫が大切。」味もさることながら、食品や調理方法が異なると、目先も変わります。組み合わせることでより豊かになります。

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4)非常食の選び方とポイント

【1】調理不要の常温保存のもの

調理が不要のもので常温保存のものを非常食として準備します。缶詰やレトルト食品を思い浮かべられると思います。非常食を食べるタイミングは、避難所で支援がない状態を想定しています。立ったままでも食べられるものも必要です。食べるスタイルにこだわらず、とりあえずの食品は大いに役立ちます。

【2】日常の食生活を基本にする

食べるのはあなた自身です。ご自身の日頃の食生活を基本に考えると選び方もわかってきます。

(1)自分の食生活に合ったものを3~7日分準備する

十分な支援が整うまでの間、非常食を食べるという考えで3~7日分を準備します。実はこれがとても重要です。ご自身の3~7日分の食べたものを思い出してください。

朝はご飯ですか、パンですか?お昼は軽く済ませる方ですか。おかずは肉が中心ですか?好きな常備菜は?

毎日決まった朝ごはんのメニューの方もあれば、ローテーションの方もあると思います。そこから非常食も揃えていきましょう。汁物がないとご飯が食べられない方、1日3回麺類OKの方。それぞれに合ったもの、自分が食欲をそそられるものを準備します。

(2)非常食は市販のもので揃えるという意識を捨てる

非常食は専門店で「非常食」「長期保存食」と表示のあるものを購入すると思い込んでいませんか?そんなことはありません。スーパーマーケットで販売されているフリーズドライや粉末のみそ汁は、非常食として販売されているものよりは賞味期限は短いのですが、管理ができれば十分非常食として利用できます。

常温で保存可能で、調理不要または調理が最低限で食べることができる食品で、賞味期限の管理が可能であれば十分非常食として使えます。

(3)自分に食べられるものを準備する

アレルギー対応が必要な方は、自分で食べられるものを準備します。同様に高齢の方で柔らかい食事を普段からしておられる方、病気で塩分やカロリーなどの制限をしておられる方は、ご自身に合った食べられるものをご準備ください。

特に、避難生活では普段より食べにくい状況になります。普段ご飯の方でも雑炊やおかゆなど少しやさしい食べ物を準備されることをおすすめします。体調がすぐれない時に、少しでも食べられるものがある安心感を大切にしてください。

【3】1人1食分個包装使い切りタイプの思ったより少量のもの

災害時に非常食を食べる状況はライフラインが停止していると想定しています。ほとんどの災害で停電は避けて通れません。復旧は早いのですが、電気が供給されないと、できないことがとても多くあります。食生活の面では冷蔵庫や冷凍庫を使用できないことは、本当に困ります。非常食を食べ残しても、冷蔵庫に保存することはできません。

ですから、個包装の使い切りのものを準備し、少量タイプであれば複数個食べればよいので、「ガッツリタイプ」「大盛り」という言葉に踊らされないようにしましょう。

【4】同じものを複数個よりバリエーション豊かなセット食を

非常食は、飽きない工夫が大切です。ネット販売ではセット販売をよく見かけます。おなじものを何個も買い込むより、バラエティーセットのような様々な味が楽しめるものを購入されることをおすすめします。変化を楽しむ工夫をしましょう。

西日本豪雨の被災地の避難所で3ヶ月間メニューが固定化されていたことが報告されました。朝は3種類のパン、昼は3種類のおにぎり、夜はコンビニ弁当。暑い時期だったので腐敗防止と予算の観点から、電子レンジの設置も遅く、冷たい同じメニューをずっと続けて提供していたそうです。被災者の方も切ないと思いますが、担当者も大変だったと思います。

【5】野菜や果物を多めに揃える

避難所では、衛生管理の面から食品を生の状態で提供すること禁止しています。また、炊き出し以外で野菜は弁当に入っているものくらいしか食べることがありません。従って、普段の食事でサラダをよく食べる人は、特に野菜不足を感じる場合が多いようです。

非常食を準備する時に、野菜を多めに揃えることを心掛けてください。野菜ジュースは水分補給を兼ねていますし、野菜スープも種類がどんどん増えています。特に、具が大きいタイプが食感と食べた満足感を得られることから、人気が高くなっています。野菜スープは季節によって随分ラインナップが異なります。半年に一度入れ替える必要がありますが、おすすめします。

この他に常備菜のレトルトも人気です。バラエティーセットも多く販売されています。きんぴらごぼうなどの定番メニューは食物繊維を摂るために、とても有効です。また、果物も食物繊維とミネラルを摂るために必要です。避難生活での体調不良の原因は野菜や果物の不足による、便秘やカゼなどの感染症がきっかけともいわれています。

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5)非常食の選び方のポイント

【1】ポイント1:持ち出せる量と重さを考える

あれもこれもと揃えてみると、随分たくさんの量になってしまいます。これに飲料水も必要になってくると、とても持ち出せる量ではないと感じる方もいらっしゃると思います。

缶詰とレトルトを組み合わせるとか、フリーズドライや粉末タイプを利用して、持ち出せる量と重さを考慮しましょう。カップタイプばかりを揃えると重さは負担になりませんが、かさばってしまいます。

バラエティー豊かなメニューと様々な形態、ライフラインの状況などを想定して、食べる順番を考えて持ち出す優先順位を決めましょう。もしもに備えて、備蓄を分散させるなど工夫しましょう。

【2】ポイント2:ゴミ処理が簡単なものを選ぶ

避難生活ではゴミ処理も大きな課題です。多くの人が避難生活をおくる施設ではゴミも多くなります。特に缶詰やカップ麺など住んでいる地域によっては、分別方法も異なります。水の使用が制限される中、家庭で行うように洗ってから分別処理することは不可能になります。

使い切りの個包装食品が多いのでゴミは増える一方ですが、少しでもゴミの処分が簡単なものを選んでください。

【3】ポイント3:食器やラップを準備する

避難所では、生活用水を十分に確保することはとても困難です。使い捨ての食器を準備することと、その食器も繰り返し使うためにラップを準備します。アルファ米やレトルト食品によっては、使い捨てのスプーンがセットになっていることもありますが、そんな食品ばかりではありません。非常食を準備すると同時に、食器や箸、カトラリー、ラップを忘れずに揃えましょう。

【4】ポイント4:十分な飲料水・生活用水を確保する

非常食について説明してきましたが、飲料水や生活用水も忘れずに準備します。調理不要の非常食も多いのですが、水やお湯を加えるだけの調理で食べられるものも多くありますし、発熱剤の使用にも水は必要です。

特に災害発生時から数日間は断水も想定する必要があります。電気の復旧より水道は日数を必要とします。飲料水の配布や給水車も支援に含まれますが、どうしても発災から3~7日は支援がないと想定する方が間違いありません。忘れずにご準備ください。






この記事のポイント

【1】非常食はネットの口コミを参考に購入することが多いので、機会があれば試食しましょう

【2】非常食に関して様々な情報を思い込むことなく、準備しましょう

【3】非常食は万人向けの味付けなので、アレンジできるように調味料を準備しましょう

【4】避難生活では、水分不足から飲み込みにくさがあり、汁物や温める道具を揃えましょう

【5】非常食を準備すると同時に、食器やラップ、飲料水も十分に確保しましょう

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