【会社版】避難訓練の5つのマニュアル総まとめ

消防法第8条で、会社における避難訓練は実施しなくてはならない義務と定められています。さまざまな自然災害が頻発している現在、仕事中の災害に備えてシュミレーションしておくことはとても大切です。会社で避難訓練を実施するために必要なことをまとめます。






1)避難訓練の前に会社がやっておくべきことは?

消防法では、管理について権限を有する者は「防火管理者の選定、消防計画の作成、消防計画に基づく消化・通報及び避難訓練の実施、消防設備の点検と整備」などが義務付けられています。

【1】防災設備設置義務

防災設備とは、火災の予防、災害時の避難、消火などの目的で設置される設備のことです。具体的には、消火器、スプリンクラーや火災報知器、防火戸、避難ばしご、誘導灯など、基本的には建物が建てられるときに設置されています。その建物の用途や規模によって、定期点検の期間と種類が定められています。

【2】防火・防災管理者の選定

防火・防災管理者とは消防法に定める国家資格で、防火上の管理・予防・消防活動を行う責任者となります。管理権限者から選定された人は、一般財団法人日本防火・防災協会が実施する資格講習を修了し、効果測定試験の受験に合格することで資格が得られます。

社員であれば誰でも選定できますが、社内において管理者的立場の人が推奨されています。

チェックリスト

2)避難訓練の事前準備に!6つのチェック

避難訓練を実施する前には、訓練計画を立てなくてはなりません。防火管理者一人で計画を立てるのではなく、参加する社員と話し合いながら立てるようにしましょう。避難訓練を実施するにあたって、次の事柄について事前に決めておきます。

【1】チェック1:訓練日の決定と連絡

訓練の実施日を決めたら、前もって社内に連絡しておきます。訓練に慣れてきたら、抜き打ちで実施するのも効果的です。また訓練時に非常ベルやサイレンなどが鳴る場合は、近隣の会社や住民に訓練であることを伝えておかなくてはなりません。

【2】チェック2:出火場所と時間

消火訓練にあたり、どこから出火したのか、出火した時間は何時かを決めておき、当日は旗などの目印を置いておきます。出火場所は、訓練のたびに違う場所と時間に設定し、設定に即した訓練計画を立てます。

【3】チェック3:役割分担

火災時は多くの人が慌ててしまい、何をするべきか分からなくなってしまいます。通報、初期消火、避難誘導などの役割を割り振っておきます。訓練当日、防火管理者の方は訓練の指揮者となり、指示を出します。指揮者は訓練の全体の流れを把握している必要があります。

【4】チェック4:避難場所

避難場所を決めておき、当日はそこへ避難、誘導をします。自力で避難ができない人がいる場合は、避難場所までの搬送方法を決めておき、訓練当日に実施します。

【5】チェック5:資機材の準備

訓練に使用するものをそろえておきます。特別な物は特にありませんが、訓練の前日までに確認をしておきましょう。

・通報訓練のための電話 ・拡声器、メガホン ・出火場所を示す目印 ・消火器具 ・ストップウォッチなどが必要です。

【6】チェック6:消防機関への連絡

訓練計画を立てたら、管轄の消防機関に連絡をしておきます。消防署員の立ち合いがある場合は、当日の打ち合わせをしておきます。

3)いざ避難訓練の実施へ

準備を整えて、実際の訓練日を迎えます。訓練の大まかな流れは、1.火災の発見→2.現場の確認→3.通報→4.初期消火→5.避難誘導→6.消防署への情報提供 となりますが、本当に火災が起きた場合は、必ずしもこの順番を守る必要はありません。火災の状況によって臨機応変な対応が必要となります。

【1】通報訓練

出火場所を確認し、消防署へ通報する訓練です。出火を発見した状況により対応が異なる場合があります。訓練ごとに設定を変えて、いろいろな対応方法を訓練しておきましょう。

(1)火災報知機やスプリンクラーの作動などにより気づいた場合

実際に火災報知機を作動させ、非常ベルを鳴らします。他にも防火戸など、作動が可能な防火設備については実際に作動させます。設備の使用方法がわからない場合は、消防設備業者の立ち合いを依頼しましょう。火災報知機の受信盤で火元を確認し、消化器を持って現場へ行きます。できれば一人ではなく複数人で向かいます。火元を確認したら大きな声で「火事だー!」と叫び、周囲へ火災の発生を知らせます。

ただちに消防機関へ通報し、初期消火を開始します。

(2)人が火災を発見した場合

「火事だー!」と叫び、周囲へ火災の発生を知らせます。現場に複数人がいる場合は、消防機関への通報や非常ベルの作動、初期消火などを手分けして実施します。会社内に放送設備がある場合は、火災の発生を放送で知らせます。建物内の人がパニックにならないよう、落ち着いて放送することは非常に大切です。あらかじめ放送文を作成しておくようにしましょう。

(3)119番通報の訓練

自動通報装置などの設置がある場合は、実際に作動させます。事前に管轄の消防機関へ連絡をしておきましょう。119番通報時は、消防職員の質問に落ち着いて答えることができれば、消防機関が必要な情報提供はできます。しかし気が動転している場合は、会社の住所や電話番号なども間違えることがあるので、電話機の目につきやすいところに書いて置いておくとよいでしょう。模擬通報を行う場合は、実際に119番通報をして、消防機関が協力してくれる場合もあります。事前に管轄の消防機関へ相談をしてみましょう。

【2】避難誘導

避難誘導は、その建物の構造や防火設備によって変わります。出火箇所の想定により、それぞれ安全な避難経路を確認しておきましょう。避難時は、エレベーターは停止する可能性が高いので使用しません。出火場所を遠ざけて、煙の被害を受けないような避難経路を選択しなくてはなりません。避難ばしごや救助袋、スロープなどの避難器具は、社内の誰もが使えるように使用方法を確認しておきましょう。避難器具の点検も含めて、使用できるものは実際に使用してみましょう。

消火訓練

4)消火訓練の基礎知識

消火器による初期所訓練を実施します。消火器の使い方は、社員の全員が知っておかなくてはなりません。消火器の中身は粉末で、実際に使用することはできませんが、手順を確認し消火動作をとる訓練をしましょう。消防機関に依頼すると、水消火器による実演と体験も可能です。管轄の消防機関へ相談してみましょう。

火災を発見した消火担当者は、出火箇所に消火器を集中させる指示を出し、初期消火を始めます。消火器による初期消火は、あくまでも発火して間もない場合のみです。建物に火が燃え広がっている場合などは、消火器での消火は困難なため、避難行動を優先しましょう。

【1】粉末消火器の使い方

1.安全ピンを抜きます

2.ホースを火元に向けます

3.レバーを強く握り薬剤を放射します

4.ホースの先はあまり上を向けずに、左右にほうきで掃くように火元に近づきます。

【2】屋内消火栓の使い方

1号消火栓の場合は、必ず二人以上の複数人で使用します。ホースがねじれない様に伸ばし、火元に向かいます。放水の準備ができたら「放水開始」の合図と声かけをしてバルブを開放します。発信機を押して消火栓ポンプを起動します。

2号消火器は一人でも使用できます。バルブを開放すると消火栓ポンプが起動するのでホースを持って火元へ向かいます。ホースノズルのコックを開いて放水します。

5)結果の検証と現行の避難訓練の問題点

訓練の結果を検証することは、最も大切といっても言い過ぎではありません。参加した社員全員でうまくいったことと反省点などを確認しておきましょう。消防機関にも訓練実施結果報告書を提出しなくてはなりません。

【1】避難訓練の検証

次のような事柄について、結果検証を行いましょう。

・分担された役割が適切に実行されたか?

・通報・消火・避難誘導が連携しながら実行されたか?

・通報は正確に実行できたか?

・避難経路は適切であったか?避難に要した時間は適切だったか?前回との比較はどうか?

・消火器などの捜査は正確に実行できたか?

その他にも、参加者から広く意見を集め、次の訓練の参考事項にしましょう

【2】避難訓練の問題点は?

年中行事のようになっていたり、参加者が偏っているなど、実際の災害時に役立つかどうかが疑問に思えるような避難訓練では、非常に残念です。これまでのような火災を念頭に置いた避難訓練だけではなく、地域によっては、水害や地盤変化に対する訓練なども必要なはずです。

また、社員の安否確認方法やパソコンのバックアップ、その他情報の管理など、これまでのマニュアルにはないけれども、会社内で決めておかなくてはならないこともあるはずです。訓練を通して明らかになった問題点・課題についてはその都度対策を講じ、訓練の回数を重ねるごとに有意義な内容にできるようにしていきましょう。

避難バッグを持つ子供

6)会社の避難訓練に関するQ&A

【Q1】消防署の立ち合いは義務ですか?

消防署の立ち合いは義務ではありません。訓練計画を立て、消防機関への事前連絡と、訓練後の結果報告は必要です。避難訓練についての不明点は、積極的に消防署に相談しましょう。協力依頼も可能なことがあります。

【Q2】社内の災害備蓄はどのくらい必要?

社員が3日~1週間を過ごせる程度の水と食品は、最低限必要です。近年は企業に対して、可能な範囲で周辺地域の住民や帰宅困難者に対しての備蓄も求められるようになってきています。周辺の企業や行政と連携して進めていきましょう。

【Q3】BCPって何のこと?

BCPとは事業継続計画のことです。会社が被災した場合に、事業の継続や早期復旧のために必要な準備や対策などを計画しておきます。社員の安全が最優先ではありますが、企業である以上は、BCPを準備しておくことは社内的・社外的にも必要性が高まっています。






この記事のチェックポイント

【1】会社における避難訓練の実施は義務です

【2】会社には防火・防災管理者の有資格者を置かなくてはなりません

【3】防火・防災管理者を中心として避難訓練の計画を立て、消防機関に事前に連絡をします

【4】避難訓練についての不明点は、積極的に消防機関に相談しましょう

 

【参照】

http://www.fdma.go.jp/neuter/about/shingi_kento/h25/gh-ksaitaisaku/02/sanko1.pdf

http://www.m-kouiki119.jp/matsu/file/pdf/bouka2.pdf

http://www.chirika.co.jp/dcms_media/other/check_shoubosetsubi.pdf

http://www.km-fire.jp/images_precaution/syoukaki.pdf

http://www.city.ageo.lg.jp/site/shoubou/139115052901.html

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