保存食は最長どれくらいもつの?7タイプ別の違いとは

保存食は元々、継続して食料を得ることが困難な状況下で、食料を食べられる状態で保管するために考えられた生活の知恵といえます。保存食は最長でどのくらいもつのでしょうか。また、長持ちさせるためにはどのような方法があるのでしょうか。






1)保存食ってそもそもなに?賞味・消費の違いって?

保存食とは、長期間食べられる状態を保つことができる食品のことです。元々は、常温で長期間保存できることを目的として考えられてきましたが、現在は冷蔵庫で保管することが前提の保存食もあります。

【1】 保存食の用途

長期間、食料の確保ができないことに備えるために、いろいろな保存方法が発達してきました。

現在は、いろいろな種類の食品を美味しく長期間保存できるようになったことから、日常的に使う食品だけでなく、その技術は災害時の備蓄食や宇宙食にも使われています。

【2】 保存食のポイントは腐敗させる菌の繁殖を抑えること

食品が腐る原因は、細菌やカビ・微生物などが付着し、繁殖することが主な原因です。しかし付着する細菌やカビ・微生物の種類によっては、発酵食品として保存性が高まることもあります。

「腐敗」と「発酵」はその過程は同じであっても、その結果が人間にとって役に立つかどうかで呼び方が異なります。腐っているのか、美味しくなっているのかは、昔は経験的に判断していましたが、現在は科学的に腐敗を抑える方法がわかっています。

【3】 食品の賞味期限と消費期限

市販の食品には「賞味期限」と「消費期限」の表示がありますが、この2つの違いは何でしょうか。農林水産省の説明は以下の通りです。

(1) 賞味期限とは

『袋や容器を開けないままで、書かれた保存方法を守って保存していた場合に、この「年月日」まで、「品質が変わらずにおいしく食べられる期限」のこと。』賞味期限=美味しく食べることができる期限

(2) 消費期限とは

『袋や容器を開けないままで、書かれた保存方法を守って保存していた場合に、この「年月日」まで、「安全に食べられる期限」のこと。』消費期限=期限を過ぎたら食べないほうがいい。

上記の通り、賞味期限も消費期限も「未開封の状態で、表示の保存方法を守って保存していた」ことが前提となっています。どちらの場合も、開封後はできるだけ早く食べきるようにしましょう。

燻製 ベーコン

2) 食品を保存するアイディア方法(食品の状態を変化させる)

食品の保存性を高めるために考えられ、発達してきた人間の生活の知恵です。

【1】アイディア1:冷蔵する

食品を腐敗させる細菌やカビ・微生物の多くは温かい環境を好むため、食品の温度を低く保つことで長持ちさせることができます。市販の食品で『要冷蔵(10℃以下)』『10℃以下で保存すること』など、温度についての表示があるものは、それを守りましょう。

【2】アイディア2:干物にする

食品の持つ水分を減らすことで、腐敗の原因となる細菌やカビ・微生物の繁殖を防ぎます。風に当てる、天日にかざすなどの方法で乾燥することができますが、現在工業的に乾燥することができます。

水分が減ることで保存性が高くなるだけでなく、食品の味が凝縮して美味しく食べることができます。

例)魚の干物、干し椎茸など。

【3】アイディア3:燻製にする

食品を燻煙する(木材を熱したときに出る煙に当てる)ことで煙中の殺菌成分が食品に浸透すると同時に、食品中の水分が減少することで食品の保存性が高まります。現代は、保存性を高めるというよりは、燻煙による風味や食感の変化を楽しむことが主な目的となっています。

例)ベーコン、スモークサーモンなど。

【4】アイディア4:塩漬けにする

塩分濃度を高くすること(塩分濃度15%~20%)で、腐敗の原因となる細菌やカビ・微生物の繁殖が抑制されます。干物や酒漬けなどの下処理として行われることがあります。

例)漬物、ハムなど。

【5】アイディア5:酒漬けにする

酒につけることで保存性を高くすることができます。アルコール濃度が高いほうが、細菌やカビ・微生物の繁殖はより抑えられます。あらかじめ漬け込む食品を乾燥させておくことで保存性は高まり、食品中にアルコールが浸透します。

例)ラムレーズンなど。

【6】アイディ6:酢漬けにする

元々は、塩漬けした食品が乳酸発酵により酸味が出たものが派生したとも言われています。酢のほかにスパイスや調味料を加えることもあります。下処理として塩漬けにして、食品の水分をある程度除いてから酢漬けにすることもあります。

例)らっきょう漬け、千枚漬け、ピクルスなど。

【7】アイディア7:発酵させる

食品を微生物などの力で発酵の過程を経ることで、保存性を高めることができます。発酵することでうま味が増す、栄養価が高まるなどの利点もあります。

例)みそ、納豆、ヨーグルトなど

3)保存雨容器で食品を保存する場合は?

食品を長持ちさせるには、空気を遮断する、湿気を避ける、などいくつかのポイントがあります。

【1】ラップをかける

食品をラップフィルムで包むことで、雑菌の付着と食品の乾燥を防ぎます。

【2】タッパーに入れる

清潔なタッパー容器に入れることで、雑菌の付着と食品の乾燥を防ぎます。密閉性の高い容器は、空気が遮断されることでさらに保存性が高まります。最近は、容器自体に抗菌作用があるものなど、機能性の高い容器も販売されています。

【3】袋に入れる

ラップをかけるのと同じような効果があります。ビニール袋・紙袋・ジッパー付きの袋など、食品の性質と状態により使い分けると、より効果的です。

【4】新聞紙などにくるむ

昔から一般的な方法です。土付きの野菜などは、新聞紙で包んで風通しの良い冷暗所に保管すると長持ちするといわれています。新聞紙で包んでからビニール袋に入れる、濡らした新聞紙で包む、など食品によって保存性を高めるコツがあるようです。

【5】瓶詰にする

瓶詰にして密封することで保存性を高めることができます。家庭で瓶詰にする場合、ビンとフタはよく洗い、煮沸消毒をしてから食品を詰めることで、雑菌の繁殖を防ぎ長持ちさせることができます。

【6】缶詰にする

調理した食品を缶に詰め、脱気・密封した後、加熱殺菌したものです。

缶詰食品

4)保存食として売られているものはどんなものがある?6つのタイプとは

災害時の保存食として利用するには、どのようなものが向いているのでしょうか。

【1】タイプ1:缶詰

肉・魚類の缶詰や果物の缶詰などは、いつも一定量の買い置きをしておき、日常的に使用することで、賞味期限を気にすることなく、災害時の備えができます。缶切り不要のプルトップ缶は、開けてそのまま食べることもできるので、災害時にも非常に有効な保存食といえます。

【2】タイプ2:瓶詰

瓶詰も缶詰と同様に、買い置きをしておくことで災害時の備えとなりますが、災害時に持ち出すことを考えると、重いのが難点ではあります。

【3】タイプ3:インスタント食品

多くのインスタント食品は、お湯を加えることで食べられる状態になります。災害時用の保存食の一部は、お湯ではなく水でも食べられるものもあります。

【4】タイプ4:レトルト食品

主食類もおかず類も、幅広くいろいろな種類がそろっています。日常ではお皿に出してから電子レンジで加熱することが多いかもしれませんが、そのまま湯煎で温める方法もあります。

災害時にライフラインが停止している間、温めることが困難な状況を想定し、そのまま(常温)でも美味しく食べられるレトルト食品も販売されています。

【5】タイプ5:乾物(フリーズドライ食品)

みそ汁やスープ類は、日常的に買い置きしておくと便利な食品です。お湯が必要なので、災害時でもお湯が沸かせる環境が必要です。野菜や果物を調味してフリーズドライにしてあるものもあります。こちらはそのまま食べられるので、日常のおやつとして買い置きができます。

【6】タイプ6:宇宙食

宇宙食の多くは、そのまま、もしくは水またはお湯を加えると食べられる状態になります。保存期間が長いことだけでなく、軽いことや栄養価に優れていることが条件であるため、災害時の保存食としても非常に有効な食品であるといえます。しかしまだ、どこでも購入できるというものではなく、価格も高いため、各家庭での保存食としては現実的ではありません。

5)保存食は最長どれくらいもつの?事例を解説!

適切な環境下で保存した場合、保存食はどのくらい食べられる状態を保つことができるのでしょうか。

【1】冷凍食品

冷凍食品の賞味期限は、未開封の状態で-18℃以下の状態で保管した場合に、1年から1.5年(食品により異なる)とされています。しかし冷凍食品に表示されているのは「賞味期限」なので、「美味しく食べられる期間」です。

賞味期限を過ぎたからといって、直ちに食べられなくなるわけではありませんが、賞味期限を過ぎた後、どのくらいの間に食べるかどうかについては、個人の責任ということになります。

賞味期限内であっても「袋が膨らんでいる」「袋内に霜がたくさんついている」などの場合は、保管状況が良くなかった可能性もあります。美味しく、安全に食べるには、購入後はできるだけ早く食べきることが、やはり基本といえます。

【2】自宅で冷凍した肉

家庭用の冷凍庫は、大きさとその機能、頻繁に開け閉めをするなどの理由で、常に-18℃以下を維持できているかどうかはわかりません。また、肉の種類や部位により保存期間は一律ではありませんが、2週間から1か月ほどといわれます。

災害時、ライフラインが停止し、冷蔵庫が使えない状況になった場合に、最初に消費するのは冷凍(冷蔵)の肉や魚です。冷蔵庫が止まって解凍されてしまったら、できるだけ早く加熱して食べてしまわないと、腐敗して臭いが出てしまいます。

さらに時間がたつと、虫が出たり不衛生な状況になりかねません。家庭での災害対策にはカセットコンロも必需品といえます。

【3】自宅で冷凍したパン

食パンを自宅で冷凍する場合は、スライスした状態で冷凍します。1枚ずつラップで包み、チャック袋に入れて空気を抜きます。パンは乾燥しやすく、乾燥すると霜がついてきます。

食べるときは解凍せずに凍ったまま焼きましょう。霜がついても食べることはできますが、味は落ちます。美味しく食べられるのは1週間ほどでしょう。

【4】市販のペットボトル(水)

未開封であれば、賞味期限を過ぎても品質の変化は少ないようです。ただし、保管の状態によっては腐敗する可能性もあるので、保管場所には配慮が必要といえます。温度変化が大きい場所や湿度の高い場所での保管は避けましょう。

密閉されているといっても、砂やほこりがかかる場所や、虫(害虫)が発生する可能性のある場所では、ペットボトルに傷がつき、そこから腐敗する可能性があります。災害備蓄用の長期保存水も同様です。賞味期限内であっても保管の状況は確認してみましょう。

【5】市販のお菓子

水分が少なく、高温で加工されているお菓子は日持ちが長いと考えられます。

賞味期限を過ぎても、すぐに食べられなくなるわけではありませんが、臭いや味、見た目の変化がある場合は食べない方が良いかもしれません。また、油を使用して加工したお菓子(揚げせんべい、ポテトチップス類など)は、賞味期限を過ぎると油が酸化し、劣化が進むことがあります。

【6】缶詰

理論上は缶詰の中は無菌状態なので、保管状態が適切であれば、賞味期限を過ぎても劣化は少ないといえます。缶詰の一般的な賞味期限は2~3年とされています。

・缶がサビている。
・穴(ピンホール)が開いている。
・缶が膨らんでいたり、へこんだりしている。

といった状態の時は変質している可能性が大きいので、確認しましょう。

【7】インスタント食品(カップラーメン)

カップラーメンの賞味期限は、製造後6か月とされています。

保管状況が適切であれば、期限後2~3か月は食べることができるといわれていますが、油を使用して加工されている場合は油の酸化による劣化がおきます。蓋が膨らんでいるような場合は、食には適しません。

【8】非常食として売られている保存食

非常食についても上記の食品と同様に、適切な環境で保管されていれば、賞味期限を過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではありません。しかし、万が一の災害時に食べることを考えれば、安心・安全に食べられるように賞味期限内のものを常備しておくべきといえます。

エプロン女性とキッチン

5)保存食・食品の保存に関するQ&A

多くの人が疑問に思うことをまとめます。

【1】賞味期限を過ぎた食べ物はどれくらいの期間までなら食べられるの?

食品やその加工方法についてさまざまなため、一概にはいえません。

ただ表示が「賞味期限」の場合、これはメーカーが保証する「美味しく食べられる期間」であるため、賞味期限を過ぎたら直ちに食べられないわけではありません。

適切な環境で保管されていたことが前提ではありますが

・容器に異常がないか。
・見た目に変化がないか。
・味やにおいに異常がないか。

などを確認の上、異常がないと判断できれば、あくまで個人の責任の下で食べてみてください。

【2】消費期限を過ぎた食べ物は?

消費期限は、それを過ぎると劣化や腐敗の進む可能性があることを示す表示方法です。適切に保管されていた場合、直ちに腐敗が始まるとは限りませんが、目には見えない変化が起きている可能性がありますので、基本的には食べない方が良いといえます。

もし、消費期限を過ぎた食品を食べる場合は、賞味期限切れの食品と同様、味やにおいや見た目をよく観察したうえで、個人の責任において食べることが必要です。

【3】お勧めの非常食・保存食は何でしょうか?

まず、水は必需品です。特別な長期保存水ではなくても、必要な在庫を持ちながら日常的に使いまわしていく、ローリングストック法が有効だと思います。そうすることで、賞味期限を気にする必要がなくなり、大量に購入して入れ替える手間を省くことができます。

併せて、カセットコンロを用意しておけば、お湯が沸かせるので、備蓄する食品の種類にも幅が持てます。同様に、肉や魚の缶詰やフルーツの缶詰なども、ローリングストック法で常備しておくことをお勧めします。

【4】炊飯器の保温は何時間までしていいの?

炊飯器の性能にもよりますが、半日~1日程度のようです。ご使用の炊飯器の説明書を確認すると、記述があるかもしれません。

【5】お弁当を朝作った場合、常温で保存してどれくらいもつ?

季節によっても違いますが、衛生面に配慮した注意点を守った場合に、昼食時まで(5~6時間)といわれます。ただし、中に詰める食品や調理方法、お弁当箱や調理器具の衛生管理、調理者の手指などの清潔などの条件により、保存できる時間は大きく変化します。

特に夏場は、保管場所によってはお弁当箱の中身も温まってしまいます。

保冷剤を使う、保冷バックに入れるなど、食べる時間まではできるだけ温度が高くならないように工夫が必要です。

【6】長持ちする食べ物・おかずとは?

お弁当に入れる場合は、次のことに注意しましょう。

・生ものや水分の多い食品は避ける。(生野菜・果物など)
・しっかり加熱したものを詰める。

揚げ物、肉や魚・卵など中心部までしっかり加熱する。

・和え物などは、水分をよく切ってから詰める。

夏場に常温で保管する場合は、水分の多い和え物などは避ける。

・マヨネーズは傷みやすいので使用しない。
・味付けは、濃いめにする。

【7】 作り置きおかずの保存のときのポイントを教えて!

作り置きのおかずの保存性を高めるためには

・保存容器を清潔にしておく。蓋やパッキンなども良く洗っておく。
・出来上がったら、温かいうちに保存容器に入れてから冷ます。
・粗熱が取れたら、すぐに冷蔵庫に入れる。
・食品によっては、小分けにして冷凍する。
・煮物はやや濃いめの味付けにする。汁気はよく煮詰める。

【8】 肉・魚の冷凍保存のコツとは?

肉を冷凍する際は空気を遮断することが大切です。ひき肉は表面積が大きいため、空気に触れる面積も大きく酸化しやすいといえます。家庭で肉を冷凍する場合は、

・新鮮な肉を購入する
・空気を遮断する(ラップでピッタリ包む。チャック袋に入れる。)
・急速に冷凍する(平らな形に整える。小分けにする。)

などがポイントといえます。






この記事のチェックポイント

人間は昔から、食べ物を長持ちさせるためにいろいろな工夫をしてきました。現代は科学の力で、人工的に保存期間を延ばすことが可能になっています。適切な保管方法を守れば、数か月から数年も保管でき、味も品質も安心して食べることができます。

日頃から、保存性の高い食品を一定量の在庫をおき、それらの食品を日常的に使いながら買い足していくローリングストック法を行うことで、特別な非常食だけでなく、普段から食べ慣れているものも非常食となります。キッチンを見回して、いざというときに備えとなる食品が、どの程度買い置きしてあるのか確認してみましょう。

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