30年で48%の確率?東京での首都直下型地震の確率と備える事

日本は地震が多いといわれていますが、中でも東京は大地震の発生が以前から予想され、特に東日本大震災の後、東京で直下型地震の起こる可能性が、現実味を帯びてきました。では、私たちは日頃どう備えればよいのでしょうか。






1)はじめに

この記事の作成目的は決して不安をあおることでも、何かを売りつけようとするものでもありません。起こりうる東京直下型地震に対して、少しでも備えをして被害を最小限にしよう、皆さんにしていただこうというものです。

「大難を小難に、小難を無難に」この想いで書いています。過去を教訓とし、来るべき未来に涙する人が1人でも少なくなるように、そんな気持ちで運営スタッフ全員が関わっています。

2)過去の東京の地震災害の被害は?5つの被害について

過去に東京で地震被害の発生した特徴的な地震を見てみましょう。

【1】元禄地震(元禄関東地震):1703年(元禄16年)

特徴としてはプレート型地震で、関東南部に津波が起こっています。記録に残る過去の地震で特徴的なものは、元禄地震(元禄関東地震)といわれています。М(マグニチュード)8.1、死者5200人とされ、被害拡大の原因は関東南部に津波が発生したことです。

【2】宝永地震:1707年(宝永4年)

東海・南海・東南海連動型地震・関東から九州までの太平洋岸に津波 が起こりました。記録に残る日本最大級の地震です。約2か月後に富士山が噴火したことが最大の特徴です。

М8.4~8.7、死者2万人以上といわれています。原因は南海トラフの断層破壊とされ、太平洋岸の広い地域に津波が押し寄せました。

【3】明治東京地震:1894年(明治27年)

直下型地震、被害の中心は東京から横浜にかけての東京湾岸でした。М7.0、死者31人、負傷者157人。震源地は両国近く・震源の深さは約50~80kmと推定されています。

震源地に近い隅田川及び荒川流域を中心に液状化現象が確認され、建物の被害は洋風建築のレンガ建造物と煙突の損壊が目立ったと記録されています。

【4】大正関東地震(関東大震災):1923年(大正12年)

プレート型地震で、火炎旋風の発生がありました。М7.9、死者・行方不明者10万5385人は日本災害史上最悪です。震源地は特定されていませんが、地震調査委員会によると相模トラフ沿いで発生したフィリピン海プレートの沈み込みによって生じたプレート境界での北米プレートの跳ね返りと考えられています。

津波の発生は、太平洋沿岸域から伊豆諸島。特徴は、地震発生時の強風にあおられ炎が渦となり「火災旋風」を引き起こし、40時間以上燃え続けたことです。被害者の9割がこの火災旋風が原因とされています。

【5】東北地方太平洋沖地震(東日本大震災):2011年(平成23年)

プレート(海溝)型地震が連動して発生しました。М9.0、死者行方不明者1万8434人。震源地は三陸沖とされますが、プレート(海溝)型地震3つが連動した連動型地震で、極めてまれで気象庁の観測史上初めての経験とされています。

地震 家

3)東京の地震は今後30年で起こる可能性は?

【1】地震調査研究推進本部の見解

2007年から2036年の30年間にМ7クラスは70%(相模トラフ沿いの地震活動の長期評価第2版)の予想であると、平成16年に発表しています。

相模トラフ沿いの地震活動の長期評価について、元禄関東地震と大正関東地震はМ8クラスのプレート型地震で180~590年間隔で発生すると考えられています。最新の地震が関東地震(関東大震災)なので、この種類の地震は切迫性がないと想定しています。

しかしこの元禄関東地震と大正関東地震の間に平均約30年に1回の割合でМ7クラスの地震が発生していることから、2007年から2036年の30年間で70%程度と想定しています。

この数字を根拠に首都直下地震を想定した被害の推定や対策が検討されました。直近の相当する地震は千葉県東方沖地震(1987年12月17日)М6.7ですので、2007年から2036年までの30年間が1周期と考えられています。

【参考】『相模トラフ沿いの地震活動の長期評価について』

【URL】https://www.jishin.go.jp/main/chousa/04aug_sagami/sagami.pdf

【2】政府の地震調査委員会(委員長:東京大学平田直教授)の予測

2018年からの30年以内に震度6弱以上の発生確率は48%と予測されています。政府の地震調査委員会は毎年「全国地震動予測地図」を公表しています。これによると、首都圏は活断層だけでなく、地震が起きるプレート境界も複雑に重なっており、首都直下地震などの大地震が多く発生すると想定されています。

今後30年以内に震度6弱以上の地震が発生する確率は、千葉市が85%と都道府県庁所在地では最も高い数値です。東京は48%です。

それぞれ市役所と都庁の所在地での評価で、地盤の固さと揺れの関係も考慮して計算されており、都庁は地盤の性質上揺れが抑えられるとして、確率が低めの結果となりました。

また、この予測地図は南海トラフ巨大地震も同時に想定しています。これを加味して予測された数値です。

評価は毎年1月1日を基準にしています。最新版は防災科学技術研究所のウエブサイト内地震ハザードステーション(J-SHIS)で公開され、「全国地震動予測地図2018版」をPDF版でダウンロードできます。

【URL】https://www.jishin.go.jp/evaluation/seismic_hazard_map/shm_report/shm_report_2018/

新宿 風景

3)世界の首都直下型地震で比較!どんな被害が?何を備えるべき?

【1】世界の首都及び主要都市の直下型地震のリスク指数

ミュンヘン再保険会社アニュアル・レポート(年次報告書)より以下引用しています。

(1)東京・横浜     710.0
(2)サンフランシスコ  167.0
(3)ロサンゼルス    100.0
(4)大阪・神戸・京都   92.0
(5)ニューヨーク     42.0
(6)ロンドン       30.0
(7)パリ         25.0
(8)北京         15.0
(9)ソウル        15.0
(10)モスクワ       11.0
(11)シドニー        6.0
(12)シンガポール      3.5
(13)リオデジャネイロ    1.8

世界の主要都市の中で、東京圏は飛びぬけて直下型地震の発生リスクが高くなっています。日本とともに環太平洋造山帯に含まれるアメリカ西海岸は、比較的大地震が発生するイメージもありますが、それでも東京の発生リスクと比べると極端に低いものです。

同じアメリカでも東海岸はリスク指数が低くなっています。また、相対的に赤道付近及び南半球のリスク指数が低いこともわかります。この報告書は、日本は全体にハイリスクですが、その中でも、東京圏が直下型地震の発生の可能性が非常に高いことを指摘しています。

【2】東京で直下地震が発生したらどんな被害が想定される?

国の中央防災会議の作業部会の発表したマグニチュード7クラスの直下型地震の被害想定です。

(1)最悪の場合:死者2,3000人・61万棟全壊消失

最悪の場合、死者23000人、経済被害95兆3千億円、最大61万棟全壊・消失と試算されています。被災地のインフラの直接被害47兆4千億円。

生産・サービスの低下によって全国に及ぶ経済活動への影響が47兆9千億円。総額は国内総生産(GDP)の約2割に当たると想定しています。ただし、耐震化及び火災対策を徹底した場合、死者数は10分の1以下、経済被害は半減できると指摘しています。

(2)首都圏の半分が停電・避難者720万人

具体的には火力発電所の運転停止で電力供給能力が半減し、首都圏の約半分が停電。断水は1440万人に影響が及ぶと想定しています。鉄道は最大1ヵ月運行停止の可能性があります。

また死者数は津波より、火災による犠牲が7割、木造住宅密集地で同時火災が多発し、火に取り囲まれるケースが多いと想定されています。帰宅困難者は800万人、避難者720万人と試算しています。

【参考資料】http://www.bousai.go.jp/jishin/syuto/taisaku_wg/index.html

【3】直下地震に対してどんな備えをしたらよい?

(1)知ること:高層ビル集合地域の「地区内残留地区」

高層ビルが集まっている地域は延焼の危険性が少ないので、「地区内残留地区」に指定されています。火災がなく、揺れがおさまって建物の安全が確認されたら、むやみに避難せずに建物内で待機しましょう。

従来の地震に対する対応ではなく、その地域の特性に合った災害対策がとられています。また、技術は日々進化しています。まずは知ることから始めましょう。

(2)体験すること:停電、断水、避難路の確認

災害発生時は停電、断水などインフラの破壊が想定されます。電気や水のない生活は本当に不便です。季節を考慮して地震は起きてくれません。1時間で結構です、電気を消してみてください。冷暖房がない時、どうしたらよいでしょうか。食事の準備はどうしましょう、トイレの水は流せません。

懐中電灯を使ったり、非常食のローリングストックを兼ねて食事をしたり、体験しましょう。ただし、健康を損ねるような体験は止めてください。熱中症になったり風邪をひいてしまっては意味がありません。

もう一つ体験しておかなければならないことがあります。避難路の確認です。避難場所まで、昼間はもちろんですが、夜、懐中電灯を使って行ってみてください。昼間と景色が違いますし、懐中電灯の照らす範囲も実際に体験してみると、想像とずいぶん違うこともあります。ぜひ、体験してください。

(3)想像すること:「もしも今地震が発生したら」と考えてみる

毎日の生活で、もしもを想定してみることは重要です。通勤途中に発生したら、勤務先で、自宅で、休日の外出先で、ペットを連れて散歩中とか、お子さんも高齢者の方もいろいろ想像してみましょう。

それぞれの避難場所はご存知ですか。頭の上に看板などが落ちてくるようなところを歩いていませんか。電車が止まったらどうしましょう。歩道橋を渡っている最中に揺れたら。

等々考えてみてください。ご家族でクイズ形式でも考えてください。学校のお迎えは誰が行きますか。帰宅困難になった時はどうしますか。常に意識を持つことで、行動は変わります。時々で結構です。忘れないでください。

家具 模型

4)もしもの時の手助けに!知っておくと便利な4つの防災ポイント

【1】家編

(1)家具の固定

食器棚の固定はもちろんですが、食器棚の観音扉をストッパーで固定していますか。普段使うのに面倒だからとやめていませんか。被災した方が、食器棚の扉が開いて中のワイングラスのコレクションが全部壊れてショックだったと嘆いておられました。

(2)電気製品の置き場所

地震の際に、顔にポットのお湯がかかる心配はありませんか。便利に、使い勝手よくはとても大切なことですが、安全面も考慮してください。パソコン用のプリンターは「よく飛んだ」と被災者の方から聞きました。テレビ用の安全パッドを使用するなどして、固定しましょう。

(3)玄関・廊下

玄関周りは片付いていますか。寝室から廊下、階段、玄関まで夜暗い中を歩いていけますか。階段や玄関などにフットライトをつけましょう。停電時でも蓄電池で一定の時間点灯するタイプをおすすめします。夜避難するときのために、靴を出しておくなど工夫しましょう。

(4)ブレーカー・ガスの元栓

電気のブレーカーやガスの元栓の位置をご存知ですか。お子さんだけで留守番している時に地震が発生した時、どうすればよいか。家族で共有すべき問題です。

(5)水道

洗濯機の水道は使用しない時は締めていますか。地震の時は必ず断水になるとは限りません。地震で洗濯機の水道のホースが外れる可能性があります。普段からしめるクセをつけましょう。この他、食洗器や冷蔵庫の自動製氷機能など水道をつないだままの電気製品はたくさんあります。避難するとき元栓を占めることを確認しましょう。

【2】オフィス編

(1)コピー機・シュレッダー

動かせるようになっているタイプは地震の揺れで走り回ります。ぶつかったら危険ですので、固定しましょう。

(2)書類のキャビネット

倒れてきたら圧死の可能性があります。特にキャビネットの上は普段使用しないものの定位置になっているオフィスも多いと思います。この際見直しましょう。

(3)床の配線

最近のオフィスは様々なコードが使用され、配線されています。普段は大丈夫でも、とっさの時に躓いたりしませんか。ちょっとした気配りで必要のない事故を防ぎましょう。

(4)机のまわり

片付いていますか。芸術的に積み上げてあるものはありませんか。机の下は逃げ込めますか。地震の時は机の下、わかっているけど入れなかったでは笑えません。

【3】外編

(1)家の外

自宅周りは片付いていますか。植木鉢が地震の揺れでガタガタと落ちて自宅ガラスを割る可能性はありませんか。自転車が勝手に道路に飛び出す危険はありませんか。使わないものは処分しましょう。

(2)自宅の塀

自宅の塀が倒れる心配はありませんか。命にかかわる事故になります。防犯上のリスクもあります。

(3)ベランダ

ベランダに出ている時に地震が起きて,部屋に戻れなくなる心配はありませんか。また、ベランダから物が落下する危険はないですか。チェックしてみましょう。

(4)室外機

エアコンの室外機は取り付けがしっかりとできていますか。室外機の置き場がサビてしまっていませんか。1階部分だけでなく、2階以上の場所に取り付けている場合もできるだけ確認しましょう。

【4】車編

(1)車庫・駐車場

車両の周りに不要なものを置いていませんか。特にタイヤなど転がっていくものは違う場所で保管しましょう。

(2)運転中

運転中に震度6弱以上の揺れにあうと、タイヤがバースト(破裂)したときのような状態になります。大きな音がして、ハンドルをとられることもあります。周囲に注意しながら、車両を路肩に寄せましょう。緊急車両の通行の妨げにならないようにしましょう。

(3)車から避難するとき

車両を置いて避難するときは、エンジンキーをつけたまま、ドアロックを開けたままで避難しましょう。緊急車両の通行の妨げにならないように、注意しましょう。

(4)車の置き場所

被災された方で、隣家の瓦が車両の上に落ちてきて、車両が使用不能になったそうです。震度6弱以上の地震の場合、瓦や置いてあるものなど、想像以上によく飛びます。この距離なら大丈夫はほとんどありません。今一度確認しましょう。

5)日頃から備えるべきアイテム25選

防災ブック『東京防災』に掲載された「最小限備えたいアイテム」からご紹介します。

【1】食品

・水(飲料水、調理用)
・主食(レトルトご飯、麺)
・主菜(缶詰、レトルト食品、冷凍食品)
・野菜ジュース
・加熱せずに食べられるもの(かまぼこ、チーズ)
・菓子類
・栄養補充食品
・調味料

【2】生活用品

・生活用水
・常備薬
・救急箱
・ティッシュペーパー
・トイレットペーパー
・オムツ、生理用品
・ウエットティッシュ
・使い捨てカイロ
・ライター
・ゴミ袋、大型ビニール袋
・簡易トイレ
・ラジオ(充電式)
・携帯電話の予備バッテリー
・使い捨て手袋
・懐中電灯、乾電池
・カセットコンロ、カセットガス

【参考】『東京防災』電子書店一覧

【URL】http://www.bousai.metro.tokyo.jp/1002147/1002317/1002546.html

地震 怖い

6)地震被害に関するQ&Aコーナー

【Q1】どうして地震発生の予想を発表するのですか?

地震の予想を発表するのは「地震調査委員会」です。この委員会は、東京大学地震研究所や防災科学技術研究所などの研究者約20人からなるもので、阪神淡路大震災を警告できなかったという反省から、震災10年の節目である2005年から毎年改訂、公表しています。

この科学的見地からの予想をもとに、政府をはじめ関係自治体、それぞれの地域の住民に地震に対する備えをして欲しいという願いが込められています。

【Q2】地震の被害が大きいとか決める基準は何ですか?

地震の大きさを示すマグニチュード(М)は地震の持つエネルギーを表します。揺れは震度で示します。では被害はどうでしょうか。それは死者・行方不明者数です。

災害発生時に自治体の長から発せられる「避難勧告」や「(緊急)避難指示」は、災害の発生が予測される時ですが、罰則規定はありません。しかし人的被害の発生が予測される時に発せられる「退去命令」には罰則規定があります。「人命を守るため」です。

地震が発生した時、マグニチュードが大きく、揺れがひどくても人的被害がない、または少ない時、全国ニュースでの扱いが小さいと感じたことはありませんか。

被災地では大変な思いをしておられても、人的被害が少なければ、被害が少ない地震となります。人命はかけがえのないものです。数字では表せないものは多くあります。心では割り切れない部分もありますが、基準は何かと問われれば、この何ものにも代えられない「人的被害」の有無が判断材料になります。

【Q3】東北地方太平洋沖地震って何?

この記事の中で東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)とか、大正関東地震(関東大震災)と表記しています。これは「地震」の方は実際の振動を表し、「震災」の方はその地震によって起きた被害を表します。専門家の用語の使い分けとご理解ください。

【Q4】2007年からの地震の確率ってヤバい?

これはあくまでも個人的な意見です。予想が発表されたのは平成16年(2004年)です。この後2011年に東北地方太平洋沖地震が発生しています。前回の直下型地震が1987年千葉県東方沖地震です。

お話ししましたように約30年の周期と考えるなら、この2つの地震の間隔が24年間ですので、考慮に入れるべきだと思うのです。実際、東北地方太平洋沖地震は直下型ではありません。

ただ、溜まっていたエネルギーが連動していく中で放出された、あるいは多少なりとも使われたと考えても間違いではないと思うのです。

三陸沖の太平洋プレートと相模トラフの関係とか詳しくはわかりません。素人考えと笑われると思います。でも、太平洋プレートが連動して地すべりを起こした気象庁の観測始まって以来の出来事であり、時間軸で見た時、かなり説得力がある感は否めなせん。

毎年公表されている「全国地震動予測地図」はこの平成16年の発表の相模トラフに関す学術的な部分を考慮に入れて、総合的な最新の判断です。どちらかと言えばこちらを参考にしてください。






この記事のチェックポイント

【1】東京では震度6弱以上の地震の発生確率は、今後30年間で約50%

【2】ハザードマップなどを利用して、直下型地震に備えましょう

【3】地震発生時の対応を知る、体験する、想像するなど日常的に防災意識を持ちましょう

【4】家、オフィス、外、車など防災に役立つ便利ポイントを押さえましょう

【5】防災ブック『東京防災』を活用して、直下型地震に備えましょう

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