缶詰は非常食の定番!メリット・デメリット・3つのレシピ全解説

非常食として備蓄している食品の多くが缶詰といわれています。一方で、空前の非常食ブームに乗り遅れまいと食品各社は缶詰の市場参入に懸命です。そこで、今さらきけない缶詰に関する素朴な疑問に対して徹底解説します。






1)何で缶詰が非常食の定番なの?

缶詰は賞味期限が長いこと、調理も容器もいらないことが非常食に適しています。

【1】メリット1:缶詰は賞味期限が3年

非常食のイメージは保存期間が長いもの。保存期間が長いものは缶詰。だから非常食として手軽に揃えるなら缶詰。という考えの方は多く、実際に非常食を購入しているという方の8割が缶詰をあげています。

一般に缶詰の賞味期限は3年がほとんどです。

缶の上(プルタブ)の近くや缶底、ラベルなどに印字されているのが賞味期限です。災害の備蓄用として、保存期間が5年の商品も多いのですが、スーパーマーケットなどで手軽に購入できる普段使いのものが、そのまま備蓄できるところが缶詰の強みです。

災害時の非日常の時に普段食べ慣れている食品を食べることは、精神的にとても安心感を得ることができます。特に、子どもさんたちには効果があり、親御さんにも好評です。

【2】メリット2:調理もお皿も不要

非常食は災害時に調理をすることなく、食べることができるものをおすすめしています。特に災害発生時、避難してすぐなどに、水の確保や熱源は保証できません。たとえ避難所に持ち込めたとしても、地震であれば余震が頻発する場合、火を使うことは避ける必要があります。

そんな時、缶詰は缶を開ければ、調理をしなくてもすぐに食べることができ、なお且つ容器からそのまま食せます。実際に缶詰を普段のおかずやおつまみとして食べたことのある人の男性で8割、女性で5割が容器を変えずにそのまま缶から食べた経験があると答えています。日常の生活で容器を入れかえず、調理不要で食べる良さを体感しているわけです。

缶詰を開ける手

2)そもそも缶詰の歴史は?

【1】明治時代は兵隊食

缶詰は保存食として進化してきました。フランスのナポレオン・ボナパルトが軍隊用に携行する保存食の開発を奨励したことが始まりとされ、缶詰が開発されました。日本では明治時代にイワシの油漬け缶詰の作り方をフランス人から習って試作したのが始まりとされています。

本格的に生産されたのは明治政府の殖産振興策として、北海道の開拓使缶詰工場で製造されたサケ缶といわれています。日清、日露戦争の兵隊食として大きな需要があり、発展しました。

【2】大正時代は輸出品

大正時代には、パイナップル、サケ、マス、カニを原料とした缶詰に加え、タケノコ、グリーンピースなど野菜の水煮缶詰を生産するようになりました。

特に千島樺太のカニの、カムチャツカのサケは欧米人に好評で水煮缶詰として品質も優良で、これにカキ、エビ、貝柱、グリーンピースも加わり、輸出産業として発展しました。そして関東大震災の時、避難民に缶詰が配給され、日本国内でも缶詰が認知され、国内需要を高めるきっかけとなりました。

【3】ツナ缶の登場と戦後の青魚

昭和に入り、静岡県水産試験場でマグロ油漬缶詰が研究開発され、広島県ではミカンの缶詰が本格的に生産されるようになり、それぞれ輸出され、飛躍的に生産数を伸ばしました。太平洋戦争中は兵隊食と粉ミルクの缶詰だけが生産され、終戦後北洋漁業の再開とともに、再び活性化した缶詰業界はサバ、イワシ、サンマ缶詰も輸出品目に加わりました。

オイルショック後は輸入品の増加で苦戦しましたが、缶コーヒーやスポーツドリンク、ウーロン茶など清涼飲料水の伸びに支えられ、缶詰市場は拡大しました。平成に入りペットボトル飲料の拡大により、缶詰業界は縮小していますが、現在はおつまみ用の「つま缶ブーム」と単身者世帯の増加、非常食用の備蓄需要の拡大により、一時期より回復しています。

3)賞味期限の切れた缶詰を食べても大丈夫?

よくある疑問で一番多いのは、やはり賞味期限のことです。

【1】賞味期限切れを食べても大丈夫?

大丈夫です。賞味期限はメーカーが味の保証をした期間です。品質には十分余裕をもって設定しています。この時、高温多湿など保管に不適切な環境で保管されたものは除きます。

また、日本缶詰びん詰レトルト食品協会によると未開封の状態であれば、保証する賞味期限から経過しても安全面や衛生面は問題ないそうです。理由は製造工程で、加熱殺菌して食品の腐敗の原因の微生物を殺滅しているからです。

ただし、パンの缶詰は他の食品と異なり水分が少ないので、賞味期限を過ぎると乾燥して、パサパサすることがあります。また、みかんの缶詰は食品自体に酸味があることから、内部からサビる可能性もあるので、期限内に食べる方が良いと思います。

【2】ヤバイ缶詰の見分け方は?

未開封で賞味期限を過ぎたものの確認事項は以下の通りです。

(1)缶詰の缶がサビていないか?

缶自体が腐食して穴が開き、空気や水と一緒に微生物が侵入している可能性がある。

(2)容器が膨らんでいないか?指で押すとペコペコとへこまないか?

微生物の侵入などによるガスの発生の可能性がある。この場合は廃棄してください。微生物によって汚染された缶詰は開けると腐敗臭がします。

いずれにせよ、保管は常温で直射日光の当たらない所で行い、できるだけ賞味期限内に消費しましょう。また、開封後に食べきれなかった場合は、食品の酸化が進んでいきますので、ガラス容器に移してラップをかけ冷蔵庫に保管しなるべく早めに食べきりましょう。

魚の缶詰

4)非常食として缶詰のダメなところは?

非常食として人気の缶詰ですが、問題点もあります。

【1】デメリット1:魚料理が多く野菜料理が少ない

お話してきましたように、日本の缶詰産業は水産物と農産物の水煮など素材を中心に発展してきました。従って、現在も清涼飲料水以外の缶詰は水産物の加工品が中心です。肉は輸入品で浸透したコンビーフやスパムなど素材缶詰が多く、野菜も水煮がほとんどで、缶詰をすぐに食べられるものは少ない状況です。

野菜料理が少ないといってもゼロではなく、非常食として人気が出たこともあり、野菜ジュース以外に、スープ、ポテトサラダ、タケノコの煮物など少しずつ増えています。

【2】デメリット2:ご飯や汁物は加熱が必要

ギフトセットやネットショップではご飯の缶詰や有名店のスープやカレーなどのセットを見かけることがあります。ただ、ご飯は缶を開けてすぐに食べることはできません。ご飯のデンプンがα(アルファ)化していないため、食べてもポロポロで、消化も良くありません。メーカーも湯煎で15~20分加熱してから食べるように明記しています。

スープやカレーは鍋にあけて加熱し、完全に一度沸騰させてから食べてください、と指示しています。保存中に油分や水分が分離することもあり、中途半端な加熱は食品の品質を悪化させることもあるからです。

この加熱しなければ食べられない点が非常食としてはネックになります。湯煎は何とかなりますが、鍋にあけて場合によっては水などを加えて加熱し、別の容器に入れて食べるということは食べるためにも、食べた後の片付けにも水を多量に必要とします。

【3】デメリット3:缶の容器が重い

今、手元に「ホテイのやきとりたれ味」と「ニッスイの炙りさばの味噌だれ」があります。

(1)ホテイフーズ:やきとり・たれ味 http://www.hoteifoods.co.jp/

(2)ニッスイ:炙りさばの味噌だれ http://www.nissui.co.jp/product/item/00615.html

・やきとり:固形量55g 内容総量75g  ふた:アルミ 缶:スチール

・炙りさば:固形量70g 内容総量100g ふた:アルミ 缶:アルミ

それぞれ缶に記してあります。実際に重さをはかってみると

・やきとり:全体量105g (全体量-内容総量)容器 30g

・炙りさば:全体量135g (全体量-内容総量)容器 35g

非常食であれば、どちらも成人1食分です。もちろんこの他に主食もいりますし、汁物、もう一品おかずか果物が必要です。最低でも1人3食3日分を準備するとなると、メインのおかず缶詰だけで1kg以上の重さになります。

飲料水だけで最低1人1日2Lといわれていますので、重量にして2kg。3日分で6kg。成人男子が背負って歩ける荷物は普通の方で15kg、女性で10kgといわれています。飲料水とおかずだけで7kgでは他に入るものが限られてしまいます。

家族がいればその食料や荷物も増えると考えなければなりませんし、子どもさんが小さければおしめなど荷物も増えますが、それ以上にだっこやおんぶの必要も考えなければなりません。

また高齢の方ではとても背負える重さではありませんし、晴れた昼間に避難できるとは限りません。夜間足元の悪い中、雨を伴った強風などの場面を想定した時、缶詰だけで非常食を賄おうとすると無理があるとお分かりいただけると思います。また、果物の缶詰の場合、手元にあるのが大きめのサイズで単純に比較できないのですが、

(3)洋ナシ :固形量230g 内容総量410g  缶:スチール プルトップ

(4)マンゴー:固形量230g 内容総量425g  缶:スチール 缶切り使用タイプ

実際に重さをはかってみると

・洋ナシ :全体量495g  (全体量-内容総量)容器 85g

・マンゴー:全体量485g  (全体量-内容総量)容器 60g

缶詰の大きさとしては3~4人用なので、1食1個でよいのですが、なかなかの重さです。特に果物の缶詰はシロップ漬けなので、このシロップの重さも無視できません。食べることは生きるためとは言え、「どうにかなるなら、何とかしたい」が本音です。缶詰の良いところを最大限に生かし、現実的な判断をもってレトルト食品などを組み合わせて非常食を準備されることが賢明だと思います。

5)缶詰を使ったレシピは何がある?3つをピックアップ

【1】レシピ1:さばの味噌煮缶のチャンチャン焼き風

①キャベツ、玉ネギ、ニンジン、シメジ、ピーマンを食べやすい大きさに切る。

②固い野菜から順番に油で炒め、酒を入れて、蓋をして蒸し焼きにする

③野菜がしんなりしたら、もやし、さばの味噌煮缶を汁ごと入れて、全体を大きく混ぜる。

④しょうゆで味を整えて完成。

お好みで豆板醬を加えてピリ辛味もたまりません。(味噌煮の煮汁で溶かして入れます)味の調節が心配な時は、しょうゆ、豆板醬の代わりに焼き肉のたれを使いましょう。その時期にある季節の野菜をたっぷり使って作りましょう。ホットプレートを使うと、盛り上がります。

【2】レシピ2:ホワイトアスパラ缶のホイル焼き

①アルミホイルに薄く油をひく

②ホワイトアスパラを並べ、ソーセージやゆで卵をトッピング

③とろけるチーズをかけてアルミホイルの口をふんわり閉じてオーブントースターかグリルで焼きます。

④材料に火が通っているので、チーズが溶けたら出来上がり。熱々をどうぞ

ホワイトソースやマヨネーズ、パスタソースのミートソース味、カルボナーラ味を加えても楽しめます。ブロッコリーやスライスした玉ネギ、マッシュルーム、コーン、コンビーフ、うずら卵の水煮など材料もアレンジしてどうぞ。

缶詰だけでもかなり作れます。グラタン皿など、耐熱容器でもどうぞ。家族みんなでトッピングしてワイワイと楽しみましょう。

【3】レシピ3:マンゴープリン

①マンゴー1缶を汁ごとミキサーにかける。

②牛乳に砂糖と粉ゼラチンを加え溶けるまで加熱する。

③1に2を加え、よく混ぜる。

④器に分けて入れ、冷蔵庫で2時間以上冷やし固める。

粉ゼラチンの量を調節して、お好みの固さをお楽しみください。桃缶で作る時は缶のシロップを全部使うと、固まりにくいことがあるので、残します。果物を全部ミキサーにかけないで粗くつぶすと、食感が楽しめます。

缶詰 お米

6)缶詰のご飯・パン・みそ汁・スープって?

ネットショップなどで話題の商品です。

【1】ご飯の缶詰

(1)サンヨー:五目めし、とり飯、牛めし、ドライカレーなど 400円~465円(税込)

内容量は375gお茶碗約2杯分です。缶を開けずに熱湯の中で20分間温めてから食べます。

1個の内容量が185gのタイプもあります。324円(税込)

(2)ホリカフーズ:レスキューフーズ白いご飯 200g 270円(税込)

缶詰ではなく、アルミトレー容器です。「サトウのごはん」がアルミトレーの容器に入っていると説明した方が、イメージしやすいと思います。熱湯で湯煎を15~20分間することで食べることができます。白いご飯はありそうで、なかなかありません。

【2】パンの缶詰

(1)ボローニャ:缶deボローニャ3種類12缶セット プレーン×4、メープル×4チョコレート×4 12缶セット 4500円(税込)3年保存

京都祇園生まれのボローニャです。「ローリングストックが待ち遠しい」と絶賛の味です。50g×2個入で1缶です。オリジナルデニッシュパンです。

(2)アキモト:おいしい備蓄 食パンの缶詰 PANCAN 3種(ブルーベリー、オレンジ、ストロベリー)×各4缶入 5184円(税込)3年保存

コーヒー味が一番人気です。「このパンが賞味期限切れになるまで、災害が起こらないで欲しい」とリピーターさん大合唱です。栃木県那須高原よりお届けです。

(3)フェイス:パンの缶詰 プレーン、コーヒー5年保存 540円(税込)

ミルク、キャラメル、ストロベリー、チョコチップ3年保存 538円(税込)

パンダの顔でお馴染みのパンの缶詰です。富山県で生産され、1缶100g入りです。パネトーネ酵母を使用し、発酵から焼成までをすべて缶の中で行っているので、人の手が触れず菌の付着する率が低く抑えられています。

【3】みそ汁

(1)永谷園:1本でしじみ70個分のちから 缶みそ汁190g×30本 3900円

(税込)

しじみ70個分のオルニチンを含んだみそ汁です。具材は入っていません。コンビニやスーパーマーケットで単品を購入できます。

(2)ホリカフーズ:レスキューフーズみそ汁缶24缶入り 4082円(税込)

大根と麩の入ったみそ汁です。冷たいままでも食べられますが、温めて食べることもできます。常温保存で3年です。

(3)伊藤園:とうふ・油あげ入りみそ汁 化学調味料不使用165g×30本 4212円(税込)

リキャップができる広口缶を使用しています。ダシはカツオとコンブ、味噌は米味噌と麦みそを合わせて使っています。

【4】スープ

(1)キャンベル:クラムチャウダー 305g×4缶 793円(税込)

新鮮なアサリとポテトがたっぷり入った具だくさんスープです。中身を鍋にあけ、空き缶1杯分の牛乳を加え、中火で温めます。パスタソースにも使えます。

(2)ポッカサッポロ:じっくりコトコトスープシャキシャキコーンの冷たいポタージュ 170g×30本 3130円(税込)

冷やしてそのまま飲める冷たいコーンスープです。シャキシャキ食感がおいしいつぶ入りコーンです。リキャップ可能な広口ボトルです。ジャガイモ(ビシソワーズ)と栗カボチャのスープもあります。

(3)ポッカサッポロ:じっくりコトコトスープつぶ入りとろ~りコーン190g×30本 2480円(税込)

とろ~りスープにシャキシャキ食感の粒コーン、北海道産クリームを加えて仕上げたコーンポタージュスープです。温める場合は湯煎でどうぞ。

缶詰 魚

7)Q&Aコーナー

【Q1】非常食に缶詰を選ぶとしたら選ぶ基準は?

最初に、非常食の条件を挙げてみましょう。

・保存期間が1年以上のもの

・調理が不要のもの(できればプルトップ缶)

・容器が不要のもの

・食べきりサイズ(食べきれなかったとき保存する冷蔵庫が使えないから)

・高カロリーのもの(満腹感が得られる)

・バラエティー豊かに、多くの食材を取り入れる(栄養の偏りを防ぐ)

・果物やスイーツで食べる楽しみを満足させる

・食べ慣れた味

家族構成や味の好み、手に入れやすさ、価格、組み合わせ、持ち出しが可能か(重すぎないか)、セットで安いからと同じものばかりになっていないか、アレルギーの有無などを念頭に色々試してみてください。

1人1缶と決めつけず、みんなで缶を囲んで食べる方法もあると思います。ローリングストックで缶パーティーを楽しんではいかがでしょうか。もちろん、食べたら補充もお忘れなく。

【Q2】缶詰の保管場所で直射日光と高温多湿以外の気をつけることは?

海の近くにお住いの方は、潮風が当たらないところに置かれることをお勧めします。住んでいると気が付きませんが、案外大気中に塩分が含まれています。自動車がサビやすいとか、台風の後にガラスが真っ白になるなどの経験がある方は、缶詰も要注意です。賞味期限までに缶がサビることがあります。

全体にサビることはありませんが、ふちのあたりが少しサビてくることがあります。プルトップ缶であれば缶底を上にしておくなどしましょう。もしもサビたら、早めに食べましょう。

【Q3】ローリングストックってよく聞くけど、みんなやってるの?

残念ながらまだ実行している方は、少ないようです。アンケートによっては備蓄している人の2割が賞味期限をチェックしていると答えています。チェックをする回数が少なければ、気付いた時にはアウトになる確率も高くなります。

賞味期限が切れないように、食べることは買った責任だと思います。非常時に食べ慣れたものが安心であれば、慣れておくのも大切なことです。給料日前の「お助けメニュー」などで活用していきましょう。

意外なことですが、若い方や子どもさんは缶切りの使い方を知らない方もいます。プルトップ缶が多くなりましたが、缶切りが必要な缶詰を食べるために、ぜひ挑戦してみてください。缶切りもタイプが色々あります。

使い勝手の良いもの、多機能型など持ち出し袋に缶詰と一緒に入れるにはどんなタイプが良いかという視点で選んでみてください。






この記事のポイント

【1】缶詰は市販のものでも賞味期限が3年と長く、調理、容器とも不要で非常食に最適

【2】非常食を備蓄している人は定番として缶詰を活用している

【3】缶詰は賞味期限が過ぎても外観に変化がなければ、中身の変質は少ない

【4】缶詰によっては加熱の必要があること、容器が重いことが非常食としては最大のネック

【5】レトルト食品と組み合わせて、缶詰を非常食に上手に取り入れましょう

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