【対策4選】河川の氾濫に備えられる基礎知識&事前準備

近年、日本各地で台風や集中豪雨などが原因の水害が、毎年のように発生しています。河川は、私たちに無くてはならない自然の恵みですが、いったん暴れだすと人間の生活や命までも奪います。河川の氾濫に対して私たちができる備えは何でしょうか?






1)水害は身近な災害

日本では、毎年どこかで大雨や台風による河川の氾濫などの水害が発生しています。特に平成26年以降は、死者の出る大きな風水害が毎年発生しています

【1】どのくらいの頻度?

海に囲まれている日本は季節の変わり目ごとに前線が停滞し、しばしば大雨を降らせます。また、夏から秋にかけては台風の接近も多くなります。全国1,741市区町村(平成27年末現在)のうち、平成18年から27年までの10年間に一度も河川の氾濫などによる水害に見舞われなかったのは、たった49市区町村だけです。残りの1,692市区町村では、10年間に1回以上の水害が発生していて、そのうちの半数近くの830市区町村では10年間に10回以上の水害が発生しているのです。

【2】水害につながる気象現象

近年、増加しているといわれ、ニュースでもよく耳にするようになった気象現象です。

(1)局地的大雨

「ゲリラ豪雨」とも呼ばれます。明確な定義はありませんが、10~数10㎞の範囲で、1時間に50㎜を超える雨量が目安とされています。狭い範囲で短時間に非常に多くの雨が降ることで、河川の氾濫や鉄砲水などが発生します。また、都市部では多くの場所がアスファルトやコンクリートで、降った雨水が地中にしみ込まずに排水溝へ集中します。治水施設や下水道の排水能力の許容範囲を超えてしまうことで、建物の浸水、地下への浸水、地下鉄や道路の浸水による交通の麻痺などの被害をもたらします。

(2)線状降水帯

次々と発生する発達した雨雲が、列となって同じ場所を通過または停滞することでできる、線状に伸びる長さ50~300㎞、幅20~50㎞程度の強い降水を伴う雨域のことを指します。同じ地域を長時間にわたって雨雲が通過するため、強い雨が降り続くことで被害が発生します。

河川 増水

2)浸水害の種類は主に2つ?

具体的に浸水害にはどのような種類があるのでしょうか?また、その現象の違いはどのようなところにあるのでしょうか?

【1】河川の水が溢れる「外水氾濫」

大雨により河川の水位が上昇して堤防の高さを超えたり、堤防が決壊して水が溢れ出す現象です。大きな河川の堤防が決壊すると、大量の水が速度をもって一気に市街地に流れ込むため、広範囲に被害が発生します。また雨量や降雨期間、氾濫場所の地形などによっては、流れ込んだ水が引かずに被害が長期化することがあります。

大雨の降り始めから河川の氾濫が起こるまでは、ある程度の時間がかかるため、警報などの情報に従って適切な避難を行うことで、人的被害の回避は可能といえます。しかし大規模な洪水が発生した場合は、地域に甚大な被害を及ぼします。

【2】市街地に降った雨が排水できずに溢れる「内水氾濫」

局地的大雨などにより、都市部に短時間で大量の雨が降り、排水能力の限界を超えることで水が溢れて浸水が生じることを内水氾濫といいます。近年発生が増加していて、河川が近くになくても起こる水害です。雨の降り始めから短時間で発生する可能性があるため、避難が間に合わないことがあります。自宅周辺や職場、学校周辺など、自分の行動範囲周辺のハザードマップで、浸水の可能性がある場所を確認しておきましょう。ただし地上での浸水の深さは比較的浅いため、外水氾濫よりも被害は小さいことがほとんどです。

3)どんな被害が起きるの?

河川の氾濫による水害の場合、具体的にどのような被害が起きるのでしょうか?

【1】被害1:人的被害

避難所への避難を躊躇したり、高齢者など避難に時間のかかる人が逃げ遅れるケースや、車で移動中に洪水に巻き込まれるなどで命を落とす事例がありました。

【2】被害2:家屋・家財などの水没

河川の氾濫によって家屋に浸水すると、家そのものと家財に被害が生じます。床下浸水であっても、水が引いた後に残った汚泥によって、床下の洗浄や消毒が必要となります。また地下室などがある場合は、対策がとられていないと、水が流れ込んでしまい大きな被害となる場合があります。車やバイクも浸水によって動かなくなることがあります。床上浸水の場合はさらに被害は大きくなります。

家屋が全損したり、流されてしまうという最悪の事態は避けられたとしても、浸水の深さによっては家電や家具も買い替えが必要であったり、家屋全面のリフォームが必要であったりと、その後の経済的負担は非常に大きいものです。

【3】被害3:ライフライン停止

浸水により下水道が溢れると、生活排水を流すことができなくなります。地域の変電所が被害を受ければ、広範囲での停電が発生します。道路の冠水など、河川の氾濫により陸路に障害が生じれば、流通に障害が発生します。

【4】被害4:感染症などの関連疾患

下水道が溢れた場合、汚水が市街地にも流出します。河川の氾濫によって溢れた水が引いた後も、汚物を含んだ汚泥は残るため、衛生環境が悪化し感染症のリスクが大きくなります。また、水害の多くは夏から秋の、まだ気温が高い季節に発生することが多いため、ライフラインの停止による食中毒のリスクも高まります。

4)水防とはどんな役割?

では、このように様々な被害をもたらす河川の氾濫に対して、どのような対策が必要なのでしょうか?

【1】水防の基礎知識

火災に対しての対策や対応を「消防」というのと同様に、水害に対しての対策や対応をとることを「水防」と呼びます。具体的には、河川の氾濫やその他の水害の発生が予想される場合に、土のうを積んだり、警戒や避難を呼びかけるなど、被害の防止や軽減を目的としています。

【2】水防の必要性

日本は海に囲まれた島国であり、山脈が縦走しているため、河川も急勾配であるという地形の特性があります。また、夏から秋にかけては前線の停滞により台風や大雨の発生しやすい気性の特性があります。これらにより、河川の氾濫などの水害が起こりやすい条件があります。

【3】インフラ整備と水坊

水害の起こりやすい条件がある以上、河川改修や堤防、治水施設などのインフラの整備が必要ではありますが、その整備には多くの時間と費用が掛かります。現在までの治水事業により、水害による浸水面積は着実に減少しています。しかし反面、気象条件は、これまでに無いほどの激しい雨や台風の発生に見舞われるようになっており、水防活動はさらに必要性を増しているといえます。

水防碑

5)水防活動で地域を守る

水防は、行政の取り組みである「公助」、個人の取り組みである「自助」、地域やコミュニティなどの取り組みである「共助」の連携が大切です。

【1】行政の取り組み「公助」

国や都道府県では様々な自然災害を防止するための対策を行っています。河川の氾濫を防止するために、堤防の整備、治水施設の建設、上下水道の整備などのインフラ整備をすすめています。しかし、このような対策には多くの時間と費用がかかりますし、対策を行っていても、人間が想定する以上の自然の力で襲われれば災害は発生します。

【2】地域やコミュニティなどの取り組み「共助」

地域の取り組みとしては、水害の恐れがある場合に、地域の人たちが協力して土のうを積んだり、近所の人たちに注意を呼び掛けたり、避難の誘導をしたりするのが水防団(消防団が兼任の地域もあります)です。「自分のたちの地域は自分たちで守ろう」という精神に基づき、地域の住民が団員となって水防活動をする組織です。

【3】個人の取り組みである「自助」

水害に対して、個人や家庭で必要な備えは何でしょうか?

(1)ハザードマップの確認

自宅や職場、学校などがある地域の自治体が提供しているハザードマップを確認しておきましょう。「水害ハザードマップ」では、想定される浸水の範囲や深さの他にも、避難などの把握もできます。河川が近くにある場合だけでなく、高台や都市部についてもどの程度の浸水被害があるかを知ることで、適切な対応が可能となります。

(2)避難場所・避難経路の確認

安全に非難ができるルートを確認しておきましょう。安全な避難場所や避難経路、避難方法を事前に把握しておくことが大切です。

(3)非常持ち出し品

避難が必要になった場合にすぐに持ち出せるようにしておきましょう。リュックなどの両手が空くカバンに詰め、その内容は地震災害の備えなどとほぼ同じですが、無理なく持ち運べる量にまとめておきましょう。

(4)安全確認の方法

家族が離れているときに、安否の確認をする方法を決めておきましょう。「災害伝言ダイヤル」などの利用方法についても確認しておきましょう。

6)避難の注意点って?6つのチェック項目

河川の氾濫は一気に起こることがあるため、避難を躊躇しているうちに逃げ遅れる可能性があります。早めの避難行動をとるための、避難の注意点は何でしょうか?

【1】CHECK1:気象情報・河川情報などに注意する

台風が発生しているときや前線の影響などで大雨が予報されているときは、テレビやラジオの気象情報や河川情報に注意しましょう。自治体のホームページや防災無線等にも注意しておきましょう。

【2】CHECK2:早めの避難行動を

自治体から避難勧告が出された場合は、躊躇せずに避難を始めましょう。周囲の状況を確認し、道路が冠水していないことを確かめてから外に出ます。地域によっては河川の氾濫だけではなく、土砂崩れなどの土砂災害にも注意が必要です。すでに浸水が始まっているような場合は、外へ出るとかえって危険なことがあります。状況に応じて、建物の2階以上に垂直避難するなどの対応をとりましょう。

【3】CHECK3:声を掛け合って集団で行動しましょう

お年寄りや小さな子供、障がいのある方などは避難に時間がかかることがあります。ご近所同士、声をかけて早めの避難行動を促し、避難誘導や介助の協力をしましょう。

【4】CHECK4:車はNG

車での避難は危険です。車が浸水して動かなくなったり、水圧でドアが開かなくなり閉じ込められる危険がありますので、絶対にやめましょう

【5】CHECK5:河川や橋には近づかない

台風や大雨の予報が出ているときは、河川や橋、用水路などにも、決して近づかないようにしましょう。

【6】CHECK6:浸水が始まってからできることは?

周囲が浸水し始めてからの避難は困難であり危険です。浸水が始まる前に避難できることが望ましいですが、浸水が始まってしまったら、慌てて外に出ないことも必要です。可能な範囲で対策をとり、2階以上の高さへの垂直避難をしましょう。

(1)浸水が始まった直後にできること

トイレ、洗面所、キッチン、風呂場などの排水溝をふさぎます。地域によっては大雨により下水道が溢れると排水が困難になる場合があります。トイレや排水溝からゴボゴボという音が聞こえたら、水が逆流してくるかもしれません。ビニール袋に水を入れて口を縛った水のうを作り、トイレの便器の中や排水溝の上に乗せておきます。床上浸水してしまうと効果はありませんが、小規模な浸水時には効果が期待できます。

(2)家具、家電、貴重品類を2階へ移動させる

貴重品や大切な物から、2階以上の高さに移動させておきます。ただし、何よりも大切なのは命です。命を守る行動を最優先に考えてください。

河川 氾濫

6)河川の氾濫に関するQ&A

【Q1】緊急速報メール「洪水情報」って何?

「水防災意識社会 再構築ビジョン」に基づいた、国土交通省の取り組みです。平成30年5月から国が管理する河川109水系の712市町村に配信エリアが拡大されました。洪水情報の緊急速報メールが届いたら、内容を確認して適切な防災行動をとりましょう。

【Q2】水防団は誰でもできる?

水防団(消防団)は水防法に基づいて、市町村長などの指揮下で地域住民を水害から守ることを任務とします。団員は、平時はそれぞれの仕事を持つ地域住民などによって構成されていて、身分は非常勤の特別地方公務員になります。興味があれば自治体に問い合わせてみましょう。

【Q3】特別警報はいつ発表される?

台風や大雨などの気象に関する特別警報が発表される前には、気象情報や注意報・警報などが順次発表されます。例えば、警報・注意報に先立って「大雨に関する気象情報」を発表して注意を呼びかけます。→状況の推移によって「大雨注意法」を発表します。→「大雨警報」発表時には大雨の降り続く時間や予想降雨量も、その他の警戒が必要な事柄も発表します。→その後も雨が降り続き、重大な災害が起こる可能性が高まった場合に「大雨特別警報」を発表。






この記事のチェックポイント

【1】河川の氾濫は身近な自然災害のひとつです

【2】近くに河川のない地域でも、浸水などの水害が起こることがあります

【3】河川が氾濫した場合は、浸水まで時間的余裕がないことがあります

【4】ハザードマップで浸水が予想される地域を確認しておきましょう

【5】台風や梅雨前線、秋雨前線などが発生しているときは、テレビやラジオの気象情報に注意しましょう

【6】台風や大雨の予報があるときは、情報収集と同時に周囲の状況を確認しながら、早めの避難行動を始めましょう

【参照】https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201507/1.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です