最新!高齢者の方が万が一に備える為に必要な防災知識5選

東日本大震災で命を落とされた方々のうち、約6割が65歳以上の高齢者だったといわれています。そして、そのほとんどの方が逃げ遅れたことが原因と考えられています。万が一の災害時に備えるため、高齢者の方の防災について考えてみましょう。






1)家の中の防災

いざというときに、素早い行動をとることが難しい高齢者の方もいらっしゃいます。身を守るため、家の中の安全対策をとりましょう。

【1】家の中でしておくべきこと

いざというとき、家の中で怪我をしないように備えておきましょう。高齢者の方は物を大切にする習慣が身についているため、家の中に物が多いケースがあります。しかし大きな地震の時には、家の中にあるすべてのものが凶器となります。日頃からできるだけ物を増やさないことと、避難するための通路の確保をしておきましょう。

(1)家具の固定

大きな地震に備えて、家の中の家具や家電は固定しておきましょう。特に寝室には、背の高い家具は置かないことが理想です。置く場合は、転倒防止器具を使用して家具を固定しましょう。また、万が一転倒しても自分の上に倒れてこないように、家具の設置場所や設置する向きを考えましょう。ベッドも足に滑り止めをつけておくと安心です。キャスター付きのベッドの場合は、ストッパーをかけておきましょう。

(2)医療機器は非常時の確認を!

電動の介護用ベッドやエアマット、在宅酸素や人工呼吸器、たん吸引器などの医療機器を使用している場合は、災害時の対応を確認しておきましょう。担当のケアマネージャー、主治医、訪問看護師などに相談し、必要であれば福祉用具のレンタル業者や医療機器のメーカーに問い合わせてみましょう。

(3)その他の安全対策

家の中の安全対策は、やっておきたいことはたくさんあります。できることから、少しずつ対策を進めていきましょう。

・開き戸は、地震の際に中身が飛び出さないように工夫しましょう。

・カーテンは不燃性の素材のものにしておきましょう。長めで厚手の物やカーテンを2枚かけておくことで、万が一窓ガラスが割れた時にガラスの飛散防止に役立ちます。

・窓ガラスは飛散防止フィルムを貼りましょう。

・エアコンの下で寝ることはやめましょう。地震の際はエアコンが落下することがあります。

・寝るときは、靴(底の厚めの物)と懐中電灯・ホイッスル・ヘルメットを近くに置いておきましょう。

【2】家の耐震診断と補強

阪神淡路大震災では、大きな家具や倒壊した建物の下敷きになる被害が多発しました。大きな地震が襲ってきたときに、家が倒れないか耐震診断と必要な補強をしておきましょう。自治体によっては耐震診断・補強に補助がある場合があります。問い合わせの上、積極的に補助を利用しましょう。

悩む若い女性

2)備蓄品と非常持ち出し品は何が必要?

基本的には若い人も高齢者も備えは同じといえますが、高齢者の方に特有の、なくてはならないものもあります。また、非常持ち出しの荷物が多すぎては避難の妨げになります。「無くては困るもの」「あったらいいもの」と分けて考えましょう。

【1】避難時、持ち出すもの

両手が空くリュックにまとめておき、枕元や玄関など、すぐに手の届く場所に置いておきましょう。高齢者の方が自分で運ぶ場合は、必ず持ってみて、無理なく運べる重さかどうかを確認しておきましょう。

(1)必ず入れておくもの

非常持ち出しリュックに入れる量と内容については、一人一人に合わせたものにしておきましょう

・水

一般的には1日1日3ℓを3日分といわれますが、それだけもかなりの重さになってしまいます。高齢者の方が自分で持ち出す場合には、飲料水は最低限1日1ℓと考え、無理のない範囲の量で調節しましょう。

・食品

基本的には調理の必要がない、開封してすぐに食べられるものを用意します。「噛む・飲み込む」ことに不具合や不安がある場合は、自分が食べやすいものを選んで入れておきましょう。レトルトのお粥や、レトルトの高齢者用食品(スマイルケア食)をローリングストックしておくとよいでしょう。ゼリー飲料は、どのような摂食嚥下機能の方でも比較的広く摂取できるので安心です。液体にむせこみなどがある場合は、液体にとろみをつける「とろみ剤」も用意しておきましょう。ようかんなどの甘いものも、好きな方は入れておくとよいでしょう。

・常用薬とおくすり手帳

高血圧や糖尿病、心臓病の薬など、中断することで体調が悪化してしまう可能性がある薬はたくさんあります。非常持ち出しリュックには1週間分以上を用意しておきましょう。災害後は、必ずしもかかりつけ医に診てもらえるとは限らないので、おくすり手帳は必ず入れておきましょう。薬には使用期限があります。薬も定期的に入れ替えをしておきましょう。

・口腔ケア用品

口腔ケア用のウエットティッシュは用意しておきましょう。ライフラインが停止すると、水を節約しなくてはならないため、歯みがきやうがいは後回しになりがちです。口腔ケア用ウエットティッシュで清拭しておくことで、口腔内が清潔に保てます。高齢者の方は特に誤嚥性肺炎などのリスクが高く、災害関連疾患を予防するためにも口腔ケアは大切です。

(2)高齢者の方に特有の物

入れ歯、老眼鏡、補聴器などを普段使用している場合は、災害時も無くては困ります。日中は身に着けているので大丈夫ですが、就寝前に外したら、それぞれケースに入れて手の届くところに置いておきましょう。

おむつや尿取りパットを使用している場合は、それも3日分以上は用意しておきましょう。

避難所などへ避難した場合、普段よりも交換がしにくい環境が予想されます。いつも使用しているものより吸収量の多いものや、長時間用を用意しておくのもよいでしょう。また、普段はおむつや尿取りパットなどは使用していない場合でも、ライフラインの停止によりトイレの使用が制限されることを考えると、予備として備えておくことも必要です。

(3)あった方がよいもの

考えれば考えるほど、あった方がよいものは増えてしまいます。高齢者の方が自分で非常持ち出しリュックを運ぶ場合は、無理のない重さに抑えましょう。荷物が重たいために避難に時間がかかったり、足元が危なくなっては本末転倒です。命を守ることを最優先に考えて、荷物の内容を考えましょう。

・防寒具:アルミブランケット、使い捨てカイロ、毛布、上着など

・衛生用品:マスク、ウエットティッシュ、トイレットペーパーなど

・日用品:タオル、軍手、ポリ袋、新聞紙など

・貴重品:健康保険証、介護保険証、通帳、印鑑、現金、その他

・その他:ラジオと予備電池、携帯電話やスマートフォンと予備バッテリーなど

【2】落ち着いてから取りに帰りたいもの

水、食品、おむつなどは、一部を非常持ち出しリュックに詰め、自宅内には一定量をローリングストックしておくようにしましょう。状況が落ち着いてから、自宅に取りに帰ることができるかもしれません。カセットコンロがあれば煮炊きができるので、避難生活が長期化する場合は必需品です。自宅には予備のカセットボンベと合わせて備えておきましょう。

介護 車椅子

3)災害時に高齢者の方を支援する人がやっておくべきことは?

家族と同居していて、同じ敷地内にいつも家族の誰かがいる場合はよいですが、家族と同居していても、家族は仕事や学校に行っていて日中は高齢者の方のみという場合も多くあります。災害時に高齢者のかたの安全を守るためには支援者が欠かせません。

【1】家族が備えておくべき、高齢者の方の防災

普段から災害時のことを話しておきましょう。高齢者の方はその不安感から、災害時のことについて話したがらない人もいるかもしれません。特別な事としてではなく、日常的に根気よく伝えていきましょう。

(1)家族が一緒に居られる場合

どのような災害においても、まずは自分の身の安全を確保しましょう。水や食品は高齢者の方用のものも十分に備蓄し、非常持ち出し品には可能な範囲で高齢者の方の分も含めておきましょう。自宅地域のハザードマップを確認しておき、災害の種類別に避難所と避難経路を決めておきます。

高齢者の方と一緒に、実際に避難所まで歩いてみると、いざというときに安心して向かえます。風水害のように、ある程度被害の予測が可能な場合は、早めの避難行動をとりましょう。場合によっては避難準備情報を待たずに、避難を開始することも必要です。

(2)日中独居、または高齢者の方だけになる場合

高齢者の方を含めた家族みんなで、災害について日頃から話しておきましょう。いざというときの決め事をまとめたノートを用意しておき、家族全員の携帯電話番号や、災害伝言ダイヤルの使用方法、避難場所などの必要なことを記入し、いつでも見られるようにしておきましょう。日中家にいるのが高齢者だけであることを、近所の人に伝えておきましょう。日頃から良好な関係を作っておくことが大切です。

【2】ケアマネージャー・介護保険関係者と連携しておくこと

高齢者の方が介護認定を受けている場合は、担当のケアマネージャーを中心に、利用しているサービスの担当者と災害時の対応について確認をしておきましょう。デイサービス利用中に災害が起きた場合や、ヘルパーが自宅で作業中の場合など、具体的な対応方法が決まっていれば、いざというときにお互いに困らずにすみます。

地域 集会所

4)地域で備えておくべきことは?

災害時はできる限り「自助」で備えることが理想ですが、災害が大きいほど、お互いに助け合う「共助」が力を発揮します。何もないときにこそ、みんなで防災対策について考えてみましょう。

【1】自治会・町内会などのコミュニティ

日頃から、住んでいる地域の自治会や町内会の活動には参加しておきましょう。避難訓練が実施されている場合は進んで参加し、自分や自分の家族以外には、どこに高齢の方が住んでいるのかを、お互いに把握しておくことで助け合うことができます。

また、自力での移動が難しい高齢者の方がいる場合は、自治会や地域の消防団などに協力依頼をしてみましょう。個人では準備しておくことが難しいストレッチャーなども、自治会や町内会で1台準備できれば有効に活用できます。

【2】避難行動要支援者名簿とは?

「避難行動要支援者名簿」とは、高齢者の方や障がいのある方など、災害時に支援が必要な方の名簿で、災害対策基本法によって市町村が作成しています。この名簿を避難支援等関係者(自治会や民生委員、消防機関など)と共有することで、安否確認や避難支援に役立てます。

平成26年4月に施行されたまだ新しい仕組みのため、その進捗状況は各自治体で異なるようです。名簿登録を希望する方、支援する側に興味のある方は各自治体に問い合わせてみましょう。

5)避難所では周囲の心配りが大切

無事に避難所へ移動できても、高齢者の方にとって避難所の環境は決して快適なものではなく、体調を崩しやすくなります。遠慮する気持ちや、あきらめの気持ちから、助けを求めることができない方もいらっしゃるので、周囲の心配りが大切です。

【1】トイレ

高齢者の方の中には、トイレの回数を減らすために水分を摂らなくなる場合があります。脱水症状予防のためにも、こまめな水分補給を心がけましょう。誰かがトイレに行くときは「一緒に行きましょう」と声をかけてみましょう。ライフラインの停止時は、避難所のトイレも使用できなくなっていて、簡易トイレとなっている場合もあります。簡易トイレが使用しにくい場合は、思い切っておむつの使用も考えてみましょう。

【2】食事

避難所で配られる食品はパンやおにぎりなどが多く、高齢者の方には食べにくいこともあります。普段から「噛む・飲み込む」ことに不具合や不安がある場合は、レトルトのお粥や高齢者用食品などの、食べやすい食品を用意しておく必要があります。どうしても食べるものに困った場合は、地域の高齢者施設に相談してみましょう。

【3】体調管理

環境の変化とストレスによって体調を崩しやすくなります。食事や排便、睡眠、服薬の管理など、周囲の人が積極的に声をかけ、確認することが必要です。体調が悪くなった場合は、早めに医療機関などへの移送を検討しましょう。

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6)その他必要なQ&Aコーナー

【Q1】福祉避難所とはどんな避難所?

災害時に、一般の避難所では生活するのが難しい高齢者や障がい者など、支援が必要な人たちに配慮した市町村指定の避難施設を指します。老人ホームなどが使われることが多く、必要に応じて開設されます。

【Q2】認知症のある高齢者の方の防災は?

認知症の方は環境の変化が苦手で、不安感から症状が強く出ることがあります。ご本人が落ち着くまでは、ご家族や知っている人がそばに付いていましょう。認知症の症状は一人一人違うので、普段から主治医や担当のケアマネージャーなどの専門家に対応を相談しておきましょう。

避難所ではスペースをダンボールで囲うなど、目から入る情報を減らすと落ち着くことがあります。状態によっては早めに福祉避難所などへの移送を検討しましょう。

【Q3】マンションの10階に住んでいます。足が不自由でエレベーターが止まったら外に降りられません・・

10階に足の不自由な高齢者の方が住んでいることを、他の住人に知っておいてもらいましょう。家族が負ぶって降りるにしても、危ないこともあります。複数の人の協力を求めましょう。マンション内に同じように困っている人がいないか、管理人や自治会に相談してみましょう。バッテリー式の階段昇降機などを備えておければ、高齢者だけでなく、妊婦や怪我をしている子供なども使うことができます。






まとめ

【1】家の中で怪我をしないように、安全対策をとっておきましょう

【2】高齢者の方の非常持ち出しリュックは重さと中身を調整して、避難の妨げにならないようにしましょう

【3】避難行動は早めに始めましょう

【4】地域の防災訓練などに参加し、近所の人との関係を良好に作っておきましょう

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