局地的大雨ってどういう意味?普段の生活からできる5つの準備

局地的大雨は、狭い範囲で突然降り出す強い雨のことを指し、「ゲリラ豪雨」などとも呼ばれます。予測が難しく、事故や水害をもたらすこともあります。局地的大雨による被害を最小限にとどめるために、普段からできる準備はどのようなことでしょうか。






1)局地的大雨とは?

気象庁では「急に強く降り、数十分の短時間で、狭い範囲に数十mm程度の雨量をもたらす雨」と説明されています。降雨量や時間に厳密な定義はありません。

【1】局地的大雨はなぜ起きる?

局地的大雨は単独の積乱雲が発達することで起きます。通常の雨は積乱雲を観測することで予測が可能ですが、局地的大雨では、その場で積乱雲が急速に発生・発達するため発生から雨が降り始めるまでの時間が非常に短く、予測することが困難です。

(1)大雨を降らせる積乱雲の発生メカニズム

地表面近くの空気が温められて軽くなると、上昇を始めます。この上昇する空気の流れ(上昇気流)によって雲が発生するのですが、上昇気流が強まり雲が成長を続けると、積乱雲となって雨を降らせます。この積乱雲が急速に、さらに発達を続けることで、狭い範囲に短時間で大雨を降らせることになるのです。地表面付近の温かく湿った空気が上昇気流を強めるため、地球の温暖化によって地表面の温度が上がっていることが、局地的大雨の増えている要因の一つといわれています。

(2)積乱雲が起こす現象

ひとつの積乱雲の大きさは、高さ数十m、水平方向の広さは数kmから十数kmほどです。発達した積乱雲は強い雨を降らせるほかに、竜巻などの突風、雷、ひょうなど、狭い地域に激しい気象現象を起こすことがあります。

【2】局地的大雨によって起こる被害の特徴

通常、一つ一つの積乱雲の寿命は短く、広がりも小さいため、単独の積乱雲による雨の影響は短時間で狭い範囲に限られ、にわか雨となります。しかし、大気の状態が不安定な場合には積乱雲は発達し、より強い雨を降らせます。局地的大雨は、単独の積乱雲が発達することで起きる現象で、一時的に雨が強まり、局地的に総雨量が数十mm程度になります。

(1)短時間で大きな被害が起きることがある!

河川の周辺などで短時間に強い雨が降ると、数分から数十分で増水し、危険な状態になることがあります。また市街地であっても、下水管や用水路の処理能力を超える量の水が流れ込むことで水があふれたり、逆流して浸水することがあります。

(2)大雨が降った地域とは離れた場所で被害が起きる!

自分のいる場所で雨が降っていなくても、河川の上流で大雨が降ると、水が勢いを増して流れてくることで河川の氾濫が起こる危険があります。

(3)注意報や警報が出なくても、危険なことがある!

河川や渓流の近くや、下水管や用水路などでは、注意報や警報の発表基準に達しない雨量であっても、事故や災害が起こる場合があります。自分がいる場所に起きる可能性のある水害について把握しておきましょう。

気象庁

2)気象庁から発表される情報に注目する

局地的大雨の被害から身を守るために、気象庁などから出される情報に注目しましょう。事前の予測は困難ですが、大気が不安定な状態で積乱雲が発達している状況では、気象庁などからは多くの情報が発信されています。

【1】気象庁の観測方法

気象庁ではいくつかの方法で雨の状況を観察し、注意報や警報など、防災気象情報や天気予報の発表に役立てています。

(1)アメダス

アメダスは、全国各地に設置した気象観測所で自動観測を行っています。約1300か所の雨量計では降水量を観測し、このうち約850か所では降水量に加えて気温、風向、風速、日照時間などの観測をしています。さらに豪雪地帯などの約290か所では、積雪量の観測も行っています。雨量計はその場所の正確な降雨量を観測することができますが、雨量計が置かれていない地域の降水量は観測できないため、局地的な降雨の観測は難しいといえます。

(2)気象レーダー

アンテナを回転させながら電波を出し、電波が戻ってくる時間と強さで、雨や雪の観測をします。半径300から400kmの範囲内が観測でき、10分ごとの観測結果が得られます。雨量計の置かれていない場所での雨や雪をとらえることができます。

(3)解析雨量

雨量計と気象レーダーの両者の観測結果を用いて雨量分布を推定します。精度は良くなりますが、データ収集や計算に時間を要するため、情報提供は30分ごとになります。

【2】雨の予報

テレビや気象庁のサイト、民間の気象事業者のサイトやアプリなどで確認することができます。

(1)数値予報

世界中から集められた様々な観測データを用いてコンピューターで物理学的に計算して予測するものです。

(2)天気予報

天気予報は毎日5時、11時、17時に発表されます。天気が急変した時には、随時修正して発表されます。都道府県内をさらにいくつかの区域に分けて発表されます。区域ごとの予報であるため、局地的な雨などは発表されないこともあります。天気予報と同時に発表される降水確率は6時間の間に1mm以上の雨が降る確率です。降水確率の数値は、雨の量や強さを表すものではありません。降水確率が低くても、局地的大雨が発生することがあります。

(3)降水短時間予報

6時間先までの1時間雨量の分布を予報します。予報は30分ごとに更新されます。雨域がどのように動くかを、地形の効果や数値予報を加味しながら予測し、精度の高い予報が可能です。

(4)降水ナウキャスト

1時間先までの10分間の雨量の分布を予報し、予報は10分ごとに更新されます。観測後3分ほどで予測結果を得ることができるため、迅速な発表に役立ちます。最新の状況を反映できるため、状況変化が大きい局地的大雨などの予測には有効な方法です。

(5)警報・注意報

気象庁は気象現象によって災害が起きる恐れのある時に「注意報」を、重大な災害が起きる恐れのある時に「警報」を発表して、注意や警戒を呼び掛けます。警報や注意報は都道府県をいくつかの区域に分けて発表されます。発表基準は都道府県の防災機関と調整して決められており、地域ごとに異なります。局地的大雨によって発生する非常に狭い範囲での事故や災害は、警報や注意報の発表基準に達しない場合でも起きる可能性があるため、注意が必要です。

ビル街の大雨

3)予測の難しい局地的大雨には、どんな準備ができるのか?

局地的大雨は台風のように数日前からの予測は難しいので、普段からの準備が大切です。

【1】ハザードマップの確認

自宅のある地域と、職場や学校などの自分や家族が出入りする地域のハザードマップを確認しておきましょう。大雨が降った際に浸水の危険がある場所、最寄り駅までの道のりで浸水の危険がある場所と安全なルートを確認しておきます。また近くに河川や山・崖などがある場合は、河川の氾濫やがけ崩れなどの危険についても、併せて確認しておきましょう。

【2】アプリの入手

天気予報アプリを入手しておけば、いつでもスマートフォンで気象情報の確認ができます。また、防災アプリでは、登録した地域に注意報や警報が出た場合に通知が届く設定などもできます。無料のアプリもいろいろなものがあるので、使いやすいものを選んで入手しておきましょう。自宅と職場や学校などがある市区町村のサイトも登録しておけば、浸水による通行止め箇所などの確認もできます。

【3】停電対策

落雷、その他の原因によって停電する可能性もあります。懐中電灯やランタン、スマートフォンの予備バッテリー、ラジオと予備電池、飲料水や非常食、カセットコンロなどは備えておきましょう。外出時もキーホルダー型の懐中電灯やスマートフォンの予備バッテリーは、いつも持ち歩くようにしましょう。

【4】記録的短時間大雨情報

数年に一度しか発生しないような短時間の大雨を観測・解析したときに、各地の気象台から発表されます。その基準は、1時間雨量が歴代の1位または2位の記録を参考に、おおむね府県の予報区ごとに決められています。記録的短時間大雨情報が発表された場合は、稀にしかない大雨であり、浸水害や土砂災害、洪水などの被害が発生する危険が高いと認識しなくてはなりません。特に土砂災害警戒区域や浸水が想定される区域にいる場合は、その場所の避難情報を確認し、必要な避難行動をとらなくてはなりません。

【5】気象情報の利用の仕方

予測の難しい局地的大雨ですが、起こる可能性についてはある程度の予測もできます。日頃は何気なく聞き流しているラジオやテレビの天気予報にも、情報が盛り込まれていることがあります。

(1)前日の天気予報から

天気予報では、翌日の雨や雷の予報がされます。「大気の状態が不安定」「天気が急変するおそれ」などの表現がある場合には、局地的大雨の可能性も気に留めておきましょう。

(2)当日の天気予報から

降水確率や雷の予報を確認しましょう。雷の予報がある場合は、不安定な天気が予想されていることを表します。天気予報で雨ではなくても、降水確率が高くなっている時間帯がある場合は、雨の降る可能性が高いといえます。降水確率が高くなっている時間帯の予定は、計画の変更についても検討しましょう。

(3)行動中の気象情報で

天気予報アプリや気象庁のサイトなどで、雨雲の動き(降水ナウキャスト)や今後の雨(降水短時間予報)について確認します。実際の空の様子も観察し、計画の変更や中断を検討しましょう。

黄色い雨傘

4)屋外にいるときに注意すること

事前に天気予報などを確認し、大気の状態が不安定とわかった場合は、屋外の活動は計画を変更することが望ましいといえます。しかしやむを得ず屋外にいる場合には、災害や事故に巻き込まれないように、細心の注意が必要です。

【1】情報収集

屋外にいるときには、スマートフォンの気象情報サービスが頼りになります。気象庁や民間の気象事業者のサイトや天気予報アプリが有効です。併せて防災アプリや市区町村のサイトなど、あらかじめすぐに使用できる状態に登録しておきましょう。

【2】危険からの身の守り方

事前の気象情報を確認し、不安定な天気が予測される場合は、河川など危険のある場所には近づかないようにしましょう。やむを得ず危険が予想される場所に行った場合は、まめに気象情報を確認するとともに、実際の空の様子も観察し、すぐに身の安全を確保できるように準備をしておきましょう。

・真っ黒な雲が広がり、周囲が急に暗くなる

・雷の音が聞こえたり、雷の光が見える

・急に風向きが変わる、急に冷たい風が吹く

・大粒の雨やひょうが降り出す

などの気象現象がみられたときは、発達した積乱雲が近づいている兆しです。速やかに安全な建物に避難するなどの行動をとりましょう。

5)局地的大雨に関連するその他のQ&A

【Q1】局地的大雨の起きやすい時期はある?

例年、7月から9月に多く発生しています。発生件数はその年によって異なりますが、増加の傾向にあるようです。

【Q2】雷が鳴り始めたら、何に気を付けたらいい?

雷が鳴り始めたら、安全な建物の中に入りましょう。軒下や屋根の下に入るだけでなく、建物の中で雷が通り過ぎるのを待ちます。近くに避難場所になる建物がない場合は、荷物は置いて、できるだけ低い姿勢でしゃがみます。できればかかとを上げてつま先で立ち、できるだけ地面との接地面を少なくするようにします。

【Q3】線状降水帯って何?

次々と発生する発達した積乱雲が、列をなした状態でほぼ同じ場所を通過することで作り出される、強い降水を伴う雨域のことです。積乱雲の縦列が通っていくイメージで、積乱雲が続いて同じ場所を通るため、強い雨が数時間続くことがあります。






まとめ

【1】局地的大雨は、発達した積乱雲によって発生します

【2】台風のように、数日前からの予測は困難です

【3】事前にハザードマップを確認し、大雨によって起こる危険について把握しておきましょう

【4】天気予報アプリ、防災アプリなど、使いやすいものを入手しておきましょう

【5】局地的大雨が発生する可能性がある場合は、無理せず予定を変更・中止することを考えましょう

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