防災時に役立つ水の保存で注意すべきチェックポイント5つ

日本では水を司るといわれる龍神を崇めつつも、長い歴史の中で人々は水に泣かされ、また水の恵みに感謝して営みを続けてきました。防災に関しても、水の問題を避けて通ることはできず、常に最優先の課題であることに変わりはありません。水の保存で注意すべき点をチェックして防災に役立てましょう。






1)災害時の必需品は厄介者?!

【1】成人一人当たり1日3Ⅼの飲料水が必要です

災害の発生に備えて、準備する非常食とともに、水は必需品です。ところが、意外にも厄介者扱いされています。最大のネックはその重さです。成人一人当たり1日に飲料水は3Ⅼ必要といわれています。500mlのペットボトルで6本。重さで言うと1日分は3kg。

しかも、備蓄量は最低3日分(9kg)できれば1週間分(21kg)を目標とされています。また、防災アドバイザーの方によっては、高層マンションで生活する方は10日分(30kg)の備蓄を呼びかけられる方もおられます。これとは別に、生活用水は一人1日当たり10L(10kg)とされています。この量は半端ないです。

しかも、備蓄するということは自宅以外で避難生活をおくる場合は持ち出す必要があります。災害により避難するときの最も重い荷物は実は「水」なのです。避難するときに、全部を持ち出すことは不可能ですが、水が無ければ生きていけません。発災時に持ち出すことが困難だという想定で、現在では分散をすすめる方も多くなりました。

【2】水も賞味期限があります

そして、備蓄するときの困りごとは、水が腐るということです。ペットボトル入りのものも賞味期限があります。常温保存は可能ですが、直射日光は避けなければなりません。そこで管理が必要になりますし、賞味期限が近くなると処分を考えなければなりません。

家庭であればどうにかして使いますが、企業ではなかなか難しい面があります。非常食であれば、賞味期限までに余裕のある段階で、フードバンクにお願いしたりすることも可能ですが、ペットボトルの水は引き取るところがほとんどないらしいので、廃棄処分をする企業もあるそうです。

もちろん費用を払って業者に委託して、廃棄するわけですから、備蓄するための購入費用、保管料、廃棄料と費用も掛かります。ですから「水」は必需品でありながら厄介者といえます。

ペットボトル 水

2)水の種類を知って、賢く付き合う

【1】水道水はやっぱり身近な存在

水を買う時代になっても、やはり水道水は生活の中で最も身近な存在です。飲料用にはペットボトル入りのものを購入されるご家庭も生活用水は水道水で賄われているところも多いと思います。水道水には基準があり、自治体ごとに自慢の水も各地にあります。また、ご家庭によっては浄水器を使っておられる場合もあると思います。フィルターの交換や、使い始めの水に含まれる成分にご注意ください。

【2】ペットボトル入りの水は4種類!

一般に販売されている水は保存水を除いて、「ナチュラルウォーター」「ナチュラルミネラルウォーター」「ミネラルウォーター」「ボトルドウォーター」の4種類あります。「ナチュラルウォーター」は天然水とも呼ばれ、特定の水源から採水された地下水を原水としています。沈殿やろ過、加熱殺菌などの処理がされています。

「ナチュラルミネラルウォーター」はナチュラルウォーターの中の地中でミネラル類が溶け込んだ地下水を原水として、沈殿やろ過、加熱殺菌などの処理が行われているものを言います。ナチュラルウォーターに比べて、ミネラルを多く含みます。

「ミネラルウォーター」はナチュラルミネラルウォーターを原水としています。沈殿やろ過、加熱殺菌の他に、品質を安定させるために、殺菌やミネラル調整が行われています。「ボトルドウォーター」は蒸留水や水道水などの飲用水をボトルに入れたものを言います。

厳密に言うとボトルドウォーターには「RO水」(Reverse Osmosis Membrane)という逆浸透膜を使用してろ過した水もあります。この逆浸透膜は超微細なフィルターで、不純物やミネラル成分を取り除き、「純水」に近い状態になります。ウォーターサーバーのメーカーによってはオリジナルのRO水を提供しているところもあります。

環境省の定めた「名水百選」は有名ですが、必ずしもそのまま飲める美味しい水ではなく、必ずしも飲用に適しているとはいえないとはっきりと書かれています。天然水がろ過や殺菌など処理が行われていることに違和感を覚えられる方もおられると思いますが、安全に飲むための必要な処理です。日本国内とはいえ「生水」は避けた方が無難です。

【3】長期保存水は備蓄用

保存水はあらかじめ殺菌処理が行ってあり、保存期間内に品質に異常が起こらないことが証明されているものを指します。市販のペットボトル入りの水と比較して、割高になる原因は殺菌処理と、ペットボトルが長期保存に耐えられるように、厚手ものが使用されているためです。

賞味期限が5年くらいと長期保存が可能ですので、管理が楽にできますが、コスト面がかさみますので、購入時期をずらすとか、飲料に限るなどの対策をおすすめします。

【4】雨水及び井戸水も利用できます

最近では、雨水タンクを利用して生活用水に利用される方もおられます。タンク内部を清潔に保つことと、フィルターのメンテナンス作業を行うこと、及びタンク内に異物の混入を防ぐために、ふたをきちんとされることをご確認ください。

また、井戸を準備しておられるご家庭もあります。農業用に井戸をご使用になられる他、庭の手入れに利用される方もおられます。それ以外にも災害に備えた井戸を掘っておられるご家庭もあります。自宅の建て替えの際に、以前の井戸を残された方や、新たに掘削された方など様々です。いずれの場合も、過去の災害で実際に生活用水として利用して役立ったと話される方も多くいらっしゃいます。

ペットボトルの水とコップの水

3)水の保存で注意すべきチェックポイント

【1】チェック1:水道水に含まれる塩素を有効活用する

お金を払って水を買うことに抵抗を感じる方も依然おられます。そんな方が実践されているのが、空いたペットボトルに水道水を備蓄することです。空のペットボトルをよく洗ってから、水道水を口いっぱいにまで入れ、きれいに洗ったフタをしっかり締めます。水は空気に触れると変質するので、空気をなるべく入れないことがポイントです。もう一つのポイントは、浄水器を使用しないことです。水道水に含まれる塩素が、細菌の繁殖を防ぐ働きをします。

この状態で、3日から1週間の保存が可能です。特に気にならないようであれば沸騰させてから、飲料水として使用できますが、不安を感じるようであれば、生活用水として使用されることをおすすめします。1週間を過ぎたら、水道水を入れ替えていけば問題はありませんが、どうしてもペットボトルの内側に水垢もつきますし、容器として清潔を保てませんので、数回ごとにボトルを新しいものと交換していく必要があります。

【2】チェック2:ペットボトルはそのまま保存

一般に販売されているミネラルウォーターです。普段の生活で購入する水といえば、このペットボトル入りのものをさします。保存用の水とは異なり、賞味期限が短く、半年くらいのものが多いのですが、水道水よりは長持ちしますし、ボトルのフタもきっちりとキャップされていますので、異物の混入も避けられます。

保存する場合は、保存用のものと比べて、容器の強度が強くないのでケースやダンボール箱などに入れて保管すると、持ち運びだけでなく、外部からの刺激にも耐えられるようになります。

【3】チェック3:ウォーターサーバーも使えるアイテム

東日本大震災の頃から、一般家庭でも導入される方が増えてきました。取扱店が増えたことが理由ですが、ペットボトル入りのものに比べて、定期的に購入できるので、煩わしさがないことも人気の要因です。そして、熊本地震のときに、ウォーターサーバーを導入した家庭は、メーカーの独自配達によって水の供給が途絶えなかったので、断水生活になっても飲料水を確保できたことが話題になりました。この経験から備蓄も兼ねて契約する家庭が増えました。

口を切った水はなるべく早く使用することが望ましいとされています。が、配達されるタンクの多くは12L入りで、そのまま備蓄できます。封を切らなければ、ペットボトル入りのものと賞味期限は変わりません。

【4】チェック4:賞味期限

購入した水は賞味期限があります。ペットボトル入りのものはもちろんですが、長期保存水も賞味期限があります。あくまでも賞味期限ですので、品質が悪化するより前の余裕のある状態を設定されていますので、神経質になる必要はありません。

ただし、保管環境が好ましい状態でない時や、場合によっては、賞味期限前でも変質する可能性はありますので、自分で見分ける方法も覚えて、確認しましょう。

【5】チェック5:保管場所

多くの商品に明示してあります。直射日光を避けて、急激な温度変化のない所に保管して下さい。また、ニオイのきついものと一緒に保管すると、ニオイが移ってしまうことがあります。ペットボトルの場合は、ダンボール箱やケースに入れて外部からかかる圧力を避け、容器が傷つくことのないように注意しましょう。

ペットボトル

4)自分で安全性を見分ける方法は3つ

【1】容器

容器が破損してないか、膨張していないか、逆にへこんでいないか確認しましょう。少しの変形でも最近の侵入が疑われますので、注意してください。また、外側にカビなどが発生していないか気をつけてください。ペットボトルは、酸素だけを通す性質がありますので、外側の付着した異物は混入の可能性が高くなります。そのまま飲むものですので、よく見てみましょう。

【2】外から見て確認

透明感や色が変わっていませんか?また、水面が下がっていませんか?いずれにしても品質が保たれているとは言えません。飲料用としての利用はやめ、生活用水として利用されることをおすすめします。

【3】開封して確認

開封して、キャップの内側にカビは生えていませんか?この他ニオイがあるものや浮遊物があるもの、粘りを感じるものは、危険ですので、飲料水としては不適です。

5)ヤバイ水を飲むとどうなるの?

水が腐った場合、お腹をこわした状態と同じような症状が出ます。下痢や、嘔吐、腹痛、不快感、倦怠感なども現れます。重篤な場合は食中毒と同じような症状が現れ、発熱を伴い、危険な状態になることもあります。特にお子さんや高齢者の方など体力のない方はご注意ください。この他にも、ミネラルの多い「硬水」を飲んだ場合、日本人は「軟水」に慣れているので、胃腸障害を起こすこともあります。

対応としては、脱水症状に注意するために、塩分を含んだ水分補給をすることです。嘔吐の後は30分程度時間を空けてから、ぬるめの少し薄めたスポーツドリンクがおすすめです。下痢の時は、水分を避ける人が多いのですが、脱水症状を悪化させますので、冷たい飲み物を避け、少しずつでも水分を補給してください。もちろん医療機関を受診されることをおすすめします。

水 ペットボトル

6)水の保存に関するその他のQ&A

【Q1】賞味期限切れの水はどうすればいいの?

飲料水として、備蓄した水の賞味期限が過ぎた場合、生活用水として利用されることをおすすめします。この時、備蓄場所を移動される方がわかりやすいと思います。水の備蓄の分散についてお話をしましたが、家庭の中でも、一カ所に備蓄するより、生活用水は使用する場所の近くに置いておく方が便利です。したがって、期限切れの水は飲料水の備蓄場所から、生活用水の備蓄場所に移動する必要があります。

また、見分ける方法に照らして、大丈夫と判断された場合、沸騰させて(煮沸消毒)からご使用になられても、問題はありません。あくまでの賞味期限ですので、美味しく飲むことのできる期限です。期限を過ぎたから、飲用に適さないわけではありません。

【Q2】備蓄用のペットボトルのサイズは?

飲料水のペットボトルは500mlと2Lが一般的です。どうしても備蓄というと大きいサイズでと思いがちですが、一度封を切るとなるべく早く使い切ることを求められ、また災害時には、できれば各個人専用に持ち歩き、コップなどの使用を避けたいものです。

ですから、理想は500mlと2Lの2種類のサイズを備蓄して、使い分けることが望ましい形です。特にお子さんや高齢の方には小さいサイズを専用にしていただき、こまめな水分補給と持ちやすい重さ、大きさで負担を感じないように配慮をお願いします。

【Q3】ウォーターサーバーを防災目線で選ぶ時の決め手は?

ズバリ、水の配達スタイルです。独自のネットワークを持ち、自社で配達をしているところは、災害が発生しても供給が止まることは少ないようです。このスタイルを取り入れているメーカーは供給拠点を国内に分散させていますので、多少配達に遅れはあっても対応可能のところが多いようです。

注意が必要なのは、従来の宅配便で水を供給しているメーカーです。今までの被災地では、道路網の寸断や、被災地の混乱により、宅配荷物の受付及び配達を一時的にストップしてしまいます。特に避難所に多くの方が避難する最初の1週間は、配達先が特定困難な状態になるので、預かっている荷物も配達できなくなってしまいます。従ってサーバーの水も供給がストップしてしまいます。

もう一点は、停電時でも利用できることです。温度管理に電気を使用しても、水の重さを利用して押し出すタイプのサーバーは、停電時でも給水が可能です。メーカーによっては、停電時には普段使用しない方法での使用法があり、給水できるようになっていることもあります。この他災害とウォーターサーバーに関して注意する点は、転倒防止のために固定することです。これはメーカーにご相談ください、ノウハウを持っています。また、停電時にはコンセントを抜いてください。通電火災の予防です。






この記事のポイント

【1】水は生きていくためには必要ですが、災害時は重いので移動が負担になります。

【2】水道水、ペットボトル、サーバーとそれぞれ特徴がある。

【3】ミネラルウォーターは殺菌処理が行われているので、「生水」とは異なる。

【4】チェックポイントで保存方法を確認し、見分ける方法で安全性を自身で判断する。

【5】水は腐るので、もし水あたりになった時は、脱水症状に注意し医療機関を受診する。

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