津波の最新対策とは?専門家も注意する5つの事

南海トラフ巨大地震や首都直下型地震などの脅威は地震の揺れだけではありません。日本中の多くの沿岸地域で津波の被害が予測されています。また津波の被害は河川が遡ることでも起こります。これまでの震災から得た教訓や調査結果から、津波対策について考えます。






1)津波の危険度を知っておく

自宅のある場所、自分や家族の職場や学校などがある場所の津波の危険性を理解しておきましょう。

【1】津波のハザードマップを確認しておく

都道府県、市区町村では、各種の災害に対して、その被害想定を地図上に示したハザードマップを作成しています。津波の可能性がある地域では、津波のハザードマップが作成されているので、ホームページなどで確認しておきましょう。地域によっては、市区町村よりももっと細かい地域ごとの被害想定を出している場合もあります。津波の際の避難場所、避難ビル、避難経路などを併せて確認しておきましょう。

【2】津波警報・注意報について理解しておく

気象庁は地震発生後、約3分を目標に大津波警報、津波警報または津波注意報を、津波予報区単位で発表します。

(1)大津波警報

予想される津波の高さが、高いところで3メートルを超える場合に発表されます。木造家屋が全壊・流失し、人は津波による流れに巻き込まれます。沿岸部や川沿いにいる人は直ちに高台や避難ビルなどの安全な場所へ避難してください。

(2)津波警報

予想される津波の高さが、高いところで1メートルを超え、3メートル以下の場合に発表されます。標高の低い場所では津波が襲い、浸水被害が発生します。人は津波による流れに巻き込まれます。沿岸部や川沿いにいる人は直ちに高台や避難ビルなどの安全な場所へ避難してください。

(3)津波注意報

予想される津波の高さが高いところで0.2メートル以上、1メートル以下の場合であって、津波による災害の恐れがある場合に発表されます。海の中では人は速い流れに巻き込まれ、養殖いかだが流失し小型船舶が転覆します。海の中にいる人は直ちに海からあがって、海岸から離れてください。

(4)津波警報・注意報と避難のポイント

・震源が陸地に近いと津波警報が津波の襲来に間に合わないことがあります。強い揺れや弱くても長い揺れがあったらすぐに避難を開始しましょう。

・津波の高さを「巨大」と予想する大津波警報が発表された場合は、東日本大震災のような巨大な津波が襲う恐れがあります。直ちにできる限りの避難をしましょう。

・津波は沿岸の地形などの影響により、局所的に予想より高くなる場合があります。ここなら安心と思わず、より高い場所を目指して避難しましょう。

・津波は長い時間くり返し襲ってきます。津波警報が解除されるまでは避難を続けましょう。

【3】津波情報

津波警報・注意報が発表された場合には、津波の到達予想時刻や、予想される津波の高さなどを津波情報で発表します。

(1)津波到達予想時刻・予想される津波の高さに関する情報

各津波予報区で、最も早く津波が到達する時刻が発表されます。津波はくり返し襲い、後からくる波の方が高くなることがあるため、観測された津波が小さくても避難を止めることは危険です。

(2)各地の満潮時刻と津波到着予想時刻に関する情報

同じ高さの津波でも干潮より満潮の方が危険性が高くなります。また新月や満月の頃の大潮の時には、潮の干満の差が最も大きくなり満潮時の潮位が高くなるため、さらに注意が必要です。

津波後の日本

2)津波防災の日・世界津波の日

日本だけではなく、世界中では何度も津波による甚大な被害が起きています。津波の脅威は世界共通の課題となっています。

【1】津波対策の推進に関する法律の制定

東日本大震災を教訓に津波対策を総合的かつ効果的に推進するために、平成23年6月「津波対策の推進に関する法律」が制定されました。この法律では、津波対策に関する観測体制の強化、調査研究の推進、被害予測、連携協力体制整備、防災対策の実施などを規定するとともに、11月5日を「津波防災の日」と定めました。

【2】11月5日は津波防災の日、世界津波の日

11月5日の「津波防災の日」には津波対策について国民の理解と関心を高めるため、全国各地で

防災訓練の実施やシンポジウムなどが開催されています。また2015年12月の国連総会では、同じく11月5日が「世界津波の日」に制定されました。これにより津波防災の活動が、日本国内だけではなく世界中に広がっています。

3)津波が発生したら何をすればいい?過去の教訓から

「地震の後には必ず津波が来る」と考えていても間違いではありません。地震=津波として避難行動を考えましょう。

【1】なぜ津波は起こるのか?

津波は、主に地震に伴って海底が隆起・沈降することで、海水も上下に動くために起こります。津波では海底から海面までの全ての海水が動きます。津波の波長は数キロメートルから数百キロメートルと非常に長く、海水が巨大な水の塊となって沿岸に押し寄せてきます。津波が引くときにも非常に強い力で長時間引き続けるため、飲み込んだ漂流物を一気に海中に引き込んでいきます。

【2】津波は何度も押し寄せる

津波は水深の深い場所ほど波の進む速さが速いため、津波が陸地に近づくにつれて後からくる波が前の波に追いつき、より波が高くなります。津波は何度も押し寄せたり、複数の波が重なってより高い波となることがあるため、最初の波よりも後からくる波の方が高くなることがあります。また湾部の地形によっては津波の方向が変わったり、水量が集中することで局所的に津波が高くなることもあります。

【3】逃げる場所を確かめておく

ハザードマップを確認し、避難場所と避難経路を確認しましょう。その時の状況により、通行できない場所が発生する可能性を考えて、複数の避難場所と避難経路を考えておくことが大切です。実際に避難経路を歩いてみて、どのくらいの時間がかかるかを知っておくことも必要です。

津波の危険がある場所には「津波注意」のマークや、「津波避難場所」「津波避難ビル」の津波標識が設置されているので、確認しておきましょう。ただし、ハザードマップで指定された避難場所や標識が設置されている場合でも、津波が予想を超えた大きさで襲ってくる可能性もあります。時間の猶予がある限り、高い場所へ避難できるように考えておきましょう。

【4】避難は距離より高さ!絶対に戻らないこと

津波から逃げるためには「遠く」よりも「高い」場所に避難することが大切です。車は渋滞や障害物などによって通行できなくなることがあるので、徒歩で避難しましょう。津波避難ビルなどのできるだけ頑丈で高い建物に避難してください。

震源が近い場合、津波警報が間に合わない可能性もあります。大きな揺れや長い揺れを感じたら、地震=津波と考えて、すぐに避難行動を始めましょう。どのような場合でも、海岸に向かうような行動は絶対に止めましょう。

311東日本大震災 津波被害

4)河川津波

東日本大震災で甚大な被害をもたらした津波は河川を遡り、内陸部でも猛威を振るいました。この「河川津波」については震災後の調査研究により、その脅威が具体的にわかってきています。

【1】川を遡る津波

津波は陸上だけでなく、河口から川にも流れ込みます。川には遮るものがないため、陸上に比べて1.5倍の速さで遡上するといわれます。

【2】都市型津波

頑丈な建物が立ち並ぶ町中に津波が押し寄せると、建物に遮られて水位が上昇し、建物のすき間に流れが集中して一気に速度を上げていきます。そのスピードは時速30キロ以上にもなるといわれます。激流は道路を水路のように流れ込み、建物にぶつかっては向きを変えて複雑な流れとなっていきます。このために、逃げる手立てや時間が無くなるのが、都市型津波の怖さです。

【3】南海トラフ巨大地震に懸念される河川津波

日本列島には3万本余りの河川が流れています。日本中、どこにどんな危険があるのか、調査研究が進められています。今後の発生が予測されている南海トラフ巨大地震では、広範囲で河川津波が発生する可能性があります。大阪府では国の被害想定とは別に、独自に被害想定を見直した結果、浸水地域の面積は国の被害想定の3倍以上に拡大しました。

大阪府では最悪の場合を想定した河川津波の対策が始められています。河川の堤防の耐震補強や水門の改修工事など、大阪府の対策だけではなく地域住民の話し合いによって、指定避難場所以外にも地区のマンションなどが避難所として開放されたり、地域の特性を考慮した避難訓練の実施などが進められています。

5)津波防災に関するその他のQ&A

【Q1】どうして「津波防災の日」は11月5日なの?

嘉永7年(1854年)11月5日、和歌山県でマグニチュード8.4の安政南海地震が起き、大きな津波に襲われました。暗闇の中で逃げ遅れた人々を、稲わらに火をつけて高台に避難誘導して多くの命を救ったという「稲むらの火」の逸話にちなんで決められました。

【Q2】オレンジフラッグって何?

海辺でオレンジフラッグをみつけたら、地震発生と津波の合図です。海に出ていると、地震の揺れも警報も聞こえないため、視覚に訴える津波防災合図です。もし海水浴中にオレンジフラッグをみつけたら、すぐに海から上がり、オレンジフラッグに向かって逃げて高い所に避難しましょう。

【Q3】地震の揺れがなくても、津波が来ることがある?

海外で発生した地震によって、日本の沿岸に津波が押し寄せることがあります。このような場合、日本では地震の揺れは感じられなくても、時間をおいて津波が襲来する可能性があります。テレビなどの情報や防災アプリなどの情報を活用して、津波警報や注意報の情報が出たら速やかに避難をしましょう。






まとめ

【1】ハザードマップで、津波の危険について知っておきましょう。

【2】地震=津波と考えて、素早い避難行動をとりましょう。

【3】避難経路と避難場所は複数考えておきましょう。

【4】津波から逃げるには、距離よりも高さが重要です。

【5】河川を遡って、内陸の都市部でも津波の被害は起こります。

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